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盲獣 VS 一寸法師

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(2001年/日本 94分)
監督・脚色・撮影/石井輝男 原作/江戸川乱歩 美術/鈴屋港、八木孝道 音楽/藤野智香 編集/矢口将樹、山下暁子
出演/リリー・フランキー、塚本晋也、平山久能、リトル・フランキー、藤田むつみ、橋本麗香、細野佑美子、薩摩剣八郎、丹波哲郎、及川光博、手塚眞、園子温、中野貴雄

概要とあらすじ
盲獣と一寸法師によるふたつの猟奇的犯罪に挑む、名探偵・明智小五郎の活躍を描いたエログロ・サスペンス。監督は「地獄」の石井輝男。江戸川乱歩の2編の原作『盲獣』と『一寸法師』を基に、石井監督自身が脚色。撮影も石井監督が担当している。主演は、映画初出演となるイラストレーターのリリー・フランキーと「クロエ Chloe」の塚本晋也。(映画.comより)



VSじゃない!

いきなりこんなことを言うのは
どうかと思うんですが
本当は『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(1969)』を観たいのです。
ところがこの『〜恐怖奇形人間』は
日本ではDVDが発売されておらず、海外版のみ。
プレミアもついて結構なお値段になっているのですが
えいやと思い切って海外版を買ったところで
リージョン1対応のプレイヤーがないと観られない始末。
貧乏人の僕には、そんな幾多の壁を乗り越えてまで
DVDを購入する金も根性もないので
そのかわり、というわけではないが
『盲獣 VS 一寸法師』に手を伸ばしたのです。

なんていうと、仕方なしに観たようですが
2005年になくなった石井輝男監督の遺作でもあるし
『盲獣 VS 一寸法師』といういかしたタイトルには
ワクワクする要素しかありません。

江戸川乱歩の小説『盲獣』『一寸法師』と
『踊る一寸法師』をブレンド
して脚色したという
そもそもの発想の自由度たるや。
『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』も
石井監督が江戸川乱歩作品のなかで印象に残っているものを
抜き出して、勝手にひとつにまとめているのに
「江戸川乱歩全集」といってしまうところがフリーダム。

『盲獣』の原作の竹中英太郎氏による挿絵をバックにした
オープニングタイトルがかっこいい。
黄色い文字で、わざわざ右から左へ書いたクレジットに
胸が躍ります。

ですが……正直、胸躍ったのはオープニングのみ。
石井作品で初めてというデジタルビデオによる映像は
深みも味わいもなく、すっかすかなのです。
美術や照明も手作り感満載で、これではさすがにノレません。
しかも、「盲獣」と「一寸法師」は一向に対決しない!
それぞれが猟奇殺人を繰り返す異常者で
新聞報道を通じてお互いをライバル視しているという
セリフによる説明はあるものの、だからといって
「オレのほうが凄いんだ〜」「あいつよりもっと非道いことをしてやる〜」
みたいなくだりは一切なく
それぞれがそれぞれの理由で凶行を繰り返しているのです。
事件の謎を解明すべく登場した明智小五郎(塚本晋也)が関わるのは
「一寸法師」にまつわる事件のみで
最後まで「盲獣」と「一寸法師」が邂逅したり、
またはエピソードが絡まったりしないのです。

大きなふたつの物語が
なんだか関係ありそうだと思ってたら、結局関係ないんかい!
というぐあいに並行しているので物語の焦点がボヤボヤなのです。
しかも、「盲獣」のほうは
盲人であるのをいいことに按摩となって女体をまさぐり、
「メアキにはわからない触覚芸術」の達成を目論んでいて、
「一寸法師」のほうはといえば
生まれてからずっと虐げられてきた不遇な人生で
美しい百合枝夫人(橋本麗香)と出会い、
一方的に不釣り合いな恋をしてしまったことで
間違った方向へと情念が傾き、凶行に及んだという
ちょっぴりほろっとさせるような存在で
ふたりの犯行の動機にも共通点がないのはいかがなものか。

あれやこれやとあったあとで
明智小五郎が家族を集めて推理を披露するという
ま、金田一耕助的なシーンでは
ここで初めて登場する及川光博扮する運転手が容疑者だったり、
じつは死んだのは誰々だと思ったら誰々で、といわれても
観客が謎を追いかけるようなストーリーになっていないので
ふーん、そうなんですか、としか言いようがなく
しかも結局、真相は明智小五郎の推理ではなく
「一寸法師」が忌の際に残した言葉だったりして
なんだかな〜もう。

これが映画初主演となるリリー・フランキー
塚本晋也をはじめとして
園子温や手塚眞、中野貴雄など
石井輝男リスペクトな方々が多数出演していて
石井監督の人望の厚さが窺えます。
タランティーノも出しちゃえばよかったのにね。

おっぱいの出し方が清々しい女優陣は、
みなさん、それぞれに美しい。
僕はとくに細野佑美子にゾッコンです!
なにやら、2009年に民主党から出馬・当選した田中美絵子
「菊池美絵子」の名義でこの作品に出演し、
ヌードを見せていたことで謝罪したらしいですが
なんでヌードになったら謝らなければならないのか
さっぱり理解できませんな。
職業差別に他ならないでしょ。

ラストに登場する丹波哲郎
なんだかわけのわからない説得力で
すべてを丸め込まれた、そんな作品でした。





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コメント

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同じレビューも何度も読んでしまうほどです。

ご存知だとは思うのですが…
新文芸座、2/15のオールナイトが江戸川乱歩特集で、
「恐怖奇形人形」も上映予定ですね。

この記事を読んで僕も見てみたくなりました。

これからも楽しみに読ませていただきます!失礼しいたしました。

2014/01/30 (木) 16:34:36 | URL | GOSHU27 #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

GOSHU27さん
コメントありがとうございます!
うれしいお言葉まで頂き、恐縮です!

> 新文芸座、2/15のオールナイトが江戸川乱歩特集で、
> 「恐怖奇形人形」も上映予定ですね。
あ、それは知りませんでした! 行きたいです!

今後ともよろしくお願いいたします。

2014/01/30 (木) 17:26:39 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

オウム関連の話しをしていて石井輝男監督の地獄って映画あったよなぁ。の流れで検索しててこちらに辿り着きました。
盲獣vs一寸法師ってすごいなぁ。と思いましたがレビューみて笑ってしまいました。
でもちょっと見てみたいです

恐怖奇形人間懐かしいです。今はなき大井武蔵野館によく観に行きましたよ。暗黒舞踏の土方さんがよかったですよね。
あのラストも。ふふふ。
石井監督いいですよね。

2015/05/16 (土) 22:59:00 | URL | あお #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>あおさん
コメントありがとうございます。
「恐怖奇形人間」、残念ながら観たことないんですが、
近々カリコレで上映するみたいなので念願叶うかもです。

2015/05/17 (日) 09:23:06 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

そうだったんですね。すみません。
観られるといいですね。
レビュー待ってます。
刑事コロンボの吹き替えやってた小池朝雄さんもビックリするような役ででてます。

2015/05/17 (日) 15:37:13 | URL | あお #- [ 編集 ]

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