" />

パシフィック・リム

pacificrim.jpg



(原題:Pacific Rim 2013年/アメリカ 131分)
監督/ギレルモ・デル・トロ 脚本/トラビス・ビーチャム、ギレルモ・デル・トロ 撮影/ギレルモ・ナバロ 美術/アンドリュー・ネスコロムニー、キャロル・スピア 衣装/ケイト・ホーリー 編集/ピーター・アムンドソン、ジョン・ギルロイ 音楽/ラミン・ジャワディ
出演/チャーリー・ハナム、イドリス・エルバス、菊地凛子、チャーリー・デイ、ロブ・カジンスキー、マックス・マーティーニ、ロン・パールマン、クリフトン・コリンズ・Jr.、バーン・ゴーマン、ディエゴ・クラテンホフ、芦田愛菜

概要とあらすじ
「ヘルボーイ」「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督が、謎の巨大生命体と人類が開発した人型兵器との壮絶な戦いを描いたVFX超大作。2013年8月11日、太平洋の深海の裂け目から超高層ビル並の巨体をもった怪物が突如出現し、サンフランシスコ湾を襲撃。「KAIJU」と名付けられたその怪物によって、わずか6日間で3つの都市が壊滅する。人類は存亡をかけて団結し、環太平洋沿岸(パシフィック・リム)諸国は英知を結集して人型巨大兵器「イェーガー」を開発。KAIJUとの戦いに乗り出す。それから10年が過ぎ、人類とKAIJUの戦いは続いていたが、かつてKAIJUにより兄を亡くし、失意のどん底にいたイェーガーのパイロット、ローリーは再び立ち上がることを決意。日本人研究者のマコ・モリとコンビを組み、旧型イェーガーのジプシー・デンジャーを修復する。菊地凛子が演じる日本人女性マコの幼少期役で芦田愛菜がハリウッドデビュー。(映画.comより)



「小人プロレス」ならぬ「巨人プロレス」

2013年、映画ファン(一部の?)の間で祭と化して
大層盛り上がった『パシフィック・リム』
『ワールド・ウォー・Z』とほぼ同時期に公開され、
期待に胸躍らせていたものの
『ワールド・ウォー・Z』でパニック障害を患った僕は
いかにも画面の動きが激しそうなこの作品を
映画館に観に行く勇気がありませんでした。
というわけで、やっとこさBlu-ray鑑賞となったのです。

ご多分に漏れず、ロボットアニメや怪獣や特撮を観て育った僕は
「フィギュア」ではなく「超合金」を両手に持って
「ぶわあ〜! がきゅーん! ざっさー!(さーさーさー←スローモーション)」
なんつってひとりで遊んでいたものですが
内心、「人間の形をしてる武器なんて非効率だよな」
考えているようなかわいげのない子供でありました。
そんな僕とは違って、子供の頃に受けた興奮を
保ち続けたまま大人になって
自分の作品にしちゃう人もいるんですから感心します。
それも、メキシコの子供が。

ギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』は大好きですが
こんなにオタクだとは知りませんでした。
(『パンズ・ラビリンス』も『千と千尋の神隠し』の影響大だとか)
ギレルモ監督はこの作品を「なにかに対するオマージュではない」という反面、
「怪獣とそれを生んだ日本へのラブレター」とも公言しています。
矛盾しているようにも聞こえますが、好意的に捉えるとすれば
ゴダールやタランティーノのように
敬愛する作品や作家から引用するのではなく
影響を受けた元の作品のディティールを参照して振り返らず、
受けた影響によってすでに自身の血肉となった美意識のみによって
発想されたもので作られている、ということではないでしょうか。
であるからして、終盤のシーンで、落としたメガネを探す研究者も
横山やすしへのオマージュではないのです!!


とにかく、特撮やCGの技術よりもさきに
ロボットやコクピット、基地や街にいたる
すべての美術とデザインが素晴らしい。
「魂は細部に宿る」とでもいわんばかりに
それぞれが根拠を持ってデザインされているその徹底ぶりは
あきれるほどです。
剥がれた塗装ひとつとっても、そこには時間と物語があるのです。
たとえ、ロボットの構造などが非科学的だったとしても
デザインにおける発想は論理的なのです。

「カイジュー」たちが宇宙から襲ってくるエイリアンではなく
低くて重い管楽器の響きに乗せて海底のワレメから出てくるあたり、
どうしても『ゴジラ』が頭に浮かび、
「本当の敵は外部ではなく我々の内面にいるのじゃ!」という
深読みもできそうな気がしますが、
ま、最大の見どころはやっぱり「カイジュー」と「イェーガー」の格闘です。
「細部をごまかすためか、暗がりでの格闘ばかりなのが残念」
という意見があるのも納得できますが
これはまさに「小人プロレス」ならぬ「巨人プロレス」なのです。
「カイジュー」はともかく、
「イェーガー」がミサイルとかビームとかの高性能な武器ではなく、
殴る蹴るのストリートファイトを繰り広げるのにつっこむのは野暮というもの。
むしろ、ヘリコプターに吊されて現場まで運ばれる「イェーガー」に
「あ、飛べないんだね」と、ロボットアニメとの違いを
讃えるべきでしょう。

ついに2匹同時に現れた「カイジュー」に対抗する
ロシアと中国の「イェーガー」との格闘シーンは
ロボットと怪獣だからとはいうものの
腕がちぎれ、頭がもげてボロボロになっていくさまは
よくよく考えれば、なかなかにグロくてエグイ。
「この感覚、どっかであったな〜」と感じて思い出したのは
『虫皇帝』です! わはは。
要するに、ロボットがいくら傷ついても痛みを感じないわけですが
破壊されたコクピットに流れこむ海水や
放り出される乗組員のカットが差し込まれることで、
そのサイズ感の違いと痛みを伴う恐怖を巧みに表現していたと思います。

ローリー(チャーリー・ハナム)マコ(菊地凛子)が乗り込んだ
「ジプシー・デンジャー」 と「カイジュー」の地上での戦いは
見応え十分でしたが
タンカー片手に戦う 「ジプシー・デンジャー」をみて
どっちにしろ街はボロボロになるのね、と
若干むなしい気持ちになったものの
ビルのオフィスが破壊されて紙が舞うシーンには前のめりになりました。
ビルや車が壊れるだけでなく、こういう室内の描写が
非常に効果的。こういうのを入れないとダメなんだよ!
しかもBlu-rayの特典映像によると、あのオフィスは
CGではなく、なんとミニチュア!


日本人なら、どうしても気になるのが
マコに扮した菊地凛子。
作りすぎじゃないかと思われる表情と極太眉毛でしたが
わりと最初からおどおどしてマコの精神的な弱さが垣間見られ、
彼女の芯の強さと隠し持った過去とのギャップがはっきりせず、
重要な役のわりにはぼんやりした印象でした。
なぜかカタコトの日本語を喋るマコですが
これはペントコスト(イドリス・エルバス)に育てられた影響で
日本語本来の発音を忘れてしまったから、という設定だそうで……
むしろカタコトの英語とのバランスを取るための
苦肉の策のようにも思われますな。

ラストで、無事を確かめ合った
ローリーとマコは抱き合って、チュー! ……しない。
むしろ、不自然にも思えるこのシーン、
なぜ二人はチューしないのか、
ご存じの方がいれば教えていただきたいくらいです。
カーニバルや年越しカウントダウン、
へたしたら忘年会だって、超盛り上がったら
チューしちゃう場合あるよね? ない?
あくまで性的描写は避けたんでしょうか?

ロボットとカイジューの戦いとは別に
世界が(パシフィック・リム=環太平洋だけど)
国籍や人種の垣根を越えて協力し合い、
また「イェーガー」の乗組員たちが
親子、三つ子、夫婦、恋人と
それぞれ身近な相手の痛みや苦しみを分かち合うことで
「シェイクハンド」しよう
というテーマがありました。
表現の仕方は陳腐なようにもみえましたが
圧倒的なヒーローが存在しないこの作品においては
高慢な説教臭さは感じられず
素直にそうありたいねぇと思いましたよ。

あ、愛菜ちゃんは、あいかわらず愛菜ちゃんでした。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ