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月曜日のユカ

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(1964年/日本 93分)
監督/中平康 脚本/斎藤耕一、倉本聰 原作/安川実(ミッキー安川) 企画/水の江瀧子 撮影/山崎善弘 美術/大鶴泰弘 音楽/黛敏郎 編集/辻井正則
出演/加賀まりこ、北林谷栄、中尾彬修、加藤武、波多野憲、ウィリアム・バッソン

概要とあらすじ
安川実の原作を「学園広場」の斎藤耕一と倉本聰が共同で脚色、「光る海」の中平康が監督した風俗ドラマ。撮影もコンビの山崎善弘。横浜の外国人客が多い上流ナイトクラブ“サンフランシスコ”では、今日もユカと呼ばれる十八歳の女の子が人気を集めていた。さまざまな伝説を身のまわりに撒きちらす女、平気で男と寝て、教会にもかよう。彼女にとっては当り前の生活も、人からみれば異様にうつった。(映画.comより抜粋)



無敵! キュート怪獣!

「鮮烈! アナーキー日本映画史(洋泉社)」によれば
中平康監督『狂った果実(1956)』
トリュフォーやゴダールらが絶賛し、
その新しい映画の方法論を自らの作品に採り入れたそうで
そんなヌーヴェル・ヴァーグの映画作家たちを
中平康は「弟子たち」と呼んでいたようです。

その後、なかなか思うような作品が撮れなかった中平康が
自分こそはヌーヴェル・ヴァーグの家元だといわんばかりに
撮った作品が『月曜日のユカ』です。

横浜の港をバックに
英語、中国語、フランス語と
とってつけたようなスーパーで語られるナレーションの
ふざけたようなオープニングから
ユカ(加賀まりこ)の魅力を紹介するPV的なショットで
ユカがウインクしたかと思うと
そのままクラブの店内へと移るトリッキーな展開が楽しいのです。

ユカは、クラブのホステスであり、
まさにファム・ファタール。というか小悪魔。
こびるわけでもないのに、男はみんなメロメロ。
そりゃあ、そうでしょう。
この作品は加賀まりこをかわいく撮るために作られたといっても
過言ではないほど、彼女の魅力に溢れています。
小さい顔につぶらな瞳、反り返った幼児的な上唇は
女の色気とロリータ的な愛らしさを併せ持っています。
これこそがニンフェット!
アア、ナンテカワイインダ!!

歯ブラシや牛乳、タバコまで
彼女を引き立てるために存在しているとしか思えません。
市川崑が監督した「ホワイトライオン」のCM(1966)
立木義浩による写真集「私生活/加賀まりこ(1971)」
『月曜日のユカ』の影響下にあると言っても
あたらずとも遠からず。

とはいえ、ユカは男を弄ぶような女ではありません。
それどころか,男を喜ばせることに生きがいを感じているのです。
同じく米軍のオンリーさんだった母親(北林谷栄)から
「愛がないなんて男から言われるのはサービスが足りないからだよ」
と指南を受けて育っているのです。
男としては、そうだそうだと母親の意見に拍手したいところですが
あんまりあっけらかんとそう言われると
ちょっと、怖じ気づきますな。

悪びれるようすもなく、誰とでもすぐに寝るユカですが
「キッス」だけは誰にも許しません。
敬虔なクリスチャンでもあるユカがキッスを許さないのは
彼女がただひとつ守ろうとする貞操のように思われましたが
じつは母親が客の男とベッドで絡み合いながら
キッスをしているのを覗き見た幼いユカが
通りがかった牧師にとがめられたことがトラウマになっていたのです。
おそらく牧師としては、キッスを含めたセックスそのものを
見てはいけない、もしくは汚らわしいと、ユカに諭したのでしょうが
ユカは「キッスはよくないこと」だと考えたのです。

年の離れたパトロンのパパ(加藤武)はユカにとって特別な存在。
「パパが喜ぶためならなんだってするわ」と言い放ちます。
もうひとりの特別な存在の若い男が修(中尾彬)です。
家庭を持つパパにとって、ユカはかわいい愛人ですが
修はユカを自分だけのものにしたいと考えています。
まさか、将来の自分が毎日ネジネジを首に巻くことになろうとは
夢にも思っていないでしょう。

どんなことにも無頓着に見えるユカでしたが
パパが自分の娘に人形を買ってやって
うれしそうに笑っているのを目撃してショックを受けます。
「あんなに嬉しそうなパパは見たことがない」というわけです。
ユカには、娘と愛人とに対する愛情の違いが理解できません。
パパへのあてつけとばかりに、
パパの家の庭先で修を誘惑するユカ。
それを警察に通報されて取り調べを受けるシーンは
おそらくユカの夢だと思いますが
画面いっぱいに映し出されたカメラ目線のユカが
早口でとうとうと事の成り行きを説明し、最後に
「わたし、イケナイ女かしか?」と首をかしげるカットが
かわいすぎて、もうたまらん。

昔付き合いのあったマジシャン(波多野憲)と再会し、
彼が突然姿を消した理由を聞いてもピンと来ないユカは
「もっと心をこめて男にサービスしないとダメだわ」
どうしても本質に気づかない絶妙な勘違いで決意を新たにし、
ダンスクラブで知り合った5人の男たちを連れて八聖殿に忍び込み
聖人たちの像が見つめるなか、ひとり全裸になるのです。
(ちなみにこの8人の聖人たちは、キリストにソクラテス、
 孔子に釈迦に聖徳太子などなどと、ごちゃまぜだそうです)
これから乱交を始めようというのに
「神さまの前だから嘘はつけないわ」と
またしてもズレた生真面目さで男たちを誘うものの
なんだかしらけた男たちはみな帰ってしまいます。
ユカは愛と性欲の違いも理解できないのです。

どうにかしてパパを喜ばせたいユカは
娘に人形を買ってあげるパパはあんなに嬉しそうだったんだから
私もパパに人形を買ってもらえばいいんだわ!

というアイデアを思いつきます。
だから、違うんだってば……
ユカがなんとか理解したのは
日曜日はパパの家族サービスの日だということ。
だったら月曜日はあたしにちょうだいね、てことなのです。

月曜日になると、母親と二人で着飾ったユカは
高級ホテルのロビーで商談中のパパの前に現れ、
周囲からも冷たい視線を浴びながら追い返されます。
ちょっぴり落ち込んでいるようすのユカに
修がついに「一緒になろうか?」とプロポーズ。
長々としたセリフの間、修の姿は一切映さず
カメラは延々とユカの表情だけを撮り続けます。

ユカがパパの頼みで外人船長と寝たことを知って逆上した修は
船長を襲撃するもロープに巻かれて死んでしまいます。
ユカが船長に抱かれたのは、それと引き替えに
修と一緒になるための資金を手にするためだったとは知らずに。
どんなに男に抱かれてもキッスだけはしなかったユカは
修の遺体にそっと口づけするのです。
ユカ独特の理屈で、赤灯台とか草むらとか
とにかく青カンしかやらせてもらえなかった修の魂も
これで少しは浮かばれるかも?


ま、冷静になって考えると
ユカはただのクルクルパーのサセ子なんですが、ははは、
圧倒的にキュートな加賀まりこが演じると、
サセ子も小悪魔になるのです。
昔も今もこの先も、ユカを演じられる女優は
加賀まりこのほかにはいないんじゃないでしょうか。
ぜひ、加賀まりこ a.k.a. ユカに萌えるべし!





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