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メッセンジャー

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(原題:The Messenger 2009年/アメリカ 112分)
監督/オーレン・ムーバーマン 脚本/アレサンドロ・キャモン、オーレン・ムーバーマン 撮影/ボビー・ブコウスキー 美術/スティーブン・ベアトリス 編集/アレックス・ホール 音楽/ネイサン・ラーソン
出演/ベン・フォスター、ウッディ・ハレルソン、サマンサ・モートン、ジェナ・マローン、スティーブ・ブシェーミ、イーモン・ウォーカー、ヤヤ・ダコスタ、ポーシャ、リサ・ジョイス

概要とあらすじ
戦死した兵士の遺族に訃報を伝える通告官(メッセンジャー)を題材に描くヒューマンドラマ。イラク戦争で戦果を上げながらも負傷し、帰国した米軍兵士のウィルは、戦死した兵士の遺族へ訃報を伝えるメッセンジャーの任務に就くことになる。上官のトニー大尉とともに訃報を伝えていくウィルは、遺族たちの怒りや悲しみを目の当たりにし、苦悩する。そんな時、夫の戦死により未亡人となったオリビアと出会ったウィルは、失われた心を取り戻していく。一方、長い軍隊生活で冷え切っていたトニーの心もまた、ウィルに友情を感じることで少しずつ氷解していく。第82回アカデミー賞で助演男優賞(ウッディ・ハレルソン)、脚本賞にノミネートされた。(映画.comより)



戦闘シーンのない戦争映画

かつて、ホイチョイ・プロダクションズ制作で
SMAP草彅剛主演の『メッセンジャー(1999)』という
チャリンコに乗ってバブルの終わりを知らせて回る映画がありましたが
こちらの『メッセンジャー』とは何の関係もございません。

どんな仕事にも苦労はつきものですが
戦死した兵士の訃報を遺族に伝える
通告官(メッセンジャー)
という仕事はなかなか辛い。
自分の犯した罪を謝罪するためなら
相手にどう思われようとも足を運ぶのが誠意というものでしょうが
ただ訃報を伝えるだけが仕事のメッセンジャーたちに当然落ち度はなく
それどころか彼らも戦場で弾をくぐり抜けてきた兵士なのです。

とはいえ、訃報を知らされる遺族にとって
メッセンジャーは死に神。
怒りと悲しみの矛先はメッセンジャーに向けられ
遺族たちは「なんで、おまえは生きてるんだ!」と罵り、
唾をかける
のです。
こんなことなら、たとえ不躾だったとしても
手紙で知らせたほうがお互いにとって
少しは気が楽なんじゃないかと思うのですが
これが国家の示す誠意なのでしょうか。
本当に戦死者に誠意を示したいなら
戦争を断行した当時のブッシュ大統領が
遺族の元へ出向いて頭を下げるべき
でしょう。
ま、生きて帰れないでしょうが。
(ブッシュが兵役逃れしたチキンホーク
 =戦場に行ったことがないのに戦争をやりたがる政治家なのは
 有名だし、イラク戦争の根拠とされた大量破壊兵器は
 発見されなかった……)

眼を負傷してイラクから帰還した
ウィル・モンゴメリー軍曹(ベン・フォスター)
メッセンジャーの任務を与えられ
トニー・ストーン大尉(ウッディ・ハレルソン)
コンビを組むことになります。
当初はトニーのほうが主役だったようですが
脚本を読んだウッディ・ハレルソンが
「オレの役は二番手のほうがいい」と申し出て
変更されたそうです。

戦争の恐ろしさを十分に味わってきたウィルが
遺族の怒りと悲しみを冷静に受け止めるのはかなりの苦行。
しかも戦地に行っているあいだに
恋人は新しい男を見つけ、結婚することに。
自暴自棄になってもしかたない状況です。

「告知は身元確認から24時間以内に」
「告知相手は最近親者のみ」
「告知の時間は6時から22時」
「最近親者には決して触れない」


などと、メッセンジャーの心得をウィルに教えるトニーは
クールなタフガイを装っているものの
実は繊細な心の持ち主で
多くの退役軍人がそうであるように
アルコール依存症になっています。

何事にも深入りしないことで平静を保っていたトニーは
感情をコントロールできずに行きすぎた行動に走るウィルと
衝突しながら少しずつ心を通わせていきます。
最初は反発していたウィルも
トニーが抱える弱さを受け入れることで
ふたりは先輩後輩の関係を超えた親友のようになるのです。

後半、いつものように訃報を知らせに行った先で
戦死者の妻・オリビア(サマンサ・モートン)と出会ったウィルは
恋に落ちます。
正直、ひとめぼれするような女性とは思えないのですが
ウィルにとったら大きなお世話。
むしろオリビアの生活感たっぷりな容姿に
リアリティーがあるのです。

なにかと親切にしてくれるウィルに
オリビアの心も傾き始めるのですが
ふたりを取りまく状況は
思いのままに愛し合えるほど簡単ではないのです。
ふたりが結ばれるということは
「訃報を伝えに行ったついでに未亡人を寝取った男」と
「夫が戦死したらすぐに新しい男を作る淫売」

と非難されることを意味するのです。
お互いが近づき合って
あとほんのちょっと前に進むだけで一線を越え、
いまにも抱きしめ合って熱いキスを交しそうになるのを
逡巡しながら我慢しているシーンの
張りつめたもどかしさが胸を締め付けます。

あらためてブッシュのでたらめさに憤りを覚えますが
戦争が、戦死者のみならず帰還した兵士や遺族たちまで
誰一人として幸せにしないことがよくわかる
静かに痛い作品でした。





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