" />

高速ばぁば

kousokubaaba.jpg



(2012年/日本 71分)
監督・脚本/内藤瑛亮 撮影/中瀬慧 照明/玉川直人 美術/山川邦彦 特殊メイク/百武朋 編集/深沢佳文 音楽/有田尚史
出演/未来穂香、北山詩織、後藤郁、中村愛美、大家由祐子、中村有志、小野敦子、岡田義徳

概要とあらすじ
異色作「先生を流産させる会」で注目を集めた内藤瑛亮監督が、3人のアイドルが陥る恐怖を描いたホラー。テレビ番組のレポーターとして廃墟の老人ホームを訪れた3人組アイドルグループ「ジャージーガール」は、すさまじい速度で移動する老婆の姿を目撃し、それ以来、不可解な現象が続発するように。メンバーのアヤネは顔にできたわずかな傷が治らなくなりグループ脱退を余儀なくされ、マネージャーやディレクターなど周囲の人々にも呪われた現象が起こる。主演は「マリア様がみてる」「鈴木先生」の未来穂香、「Seventeen」専属モデルの北山詩織、「アイドリング!!!」メンバーの後藤郁。(映画.comより)



こっち来んな! こっち来んなって!

むかーしむかし。
江口寿史の漫画『すすめ!パイレーツ』
耕耘機と併走するばばあがギャグとして出てきたのは
いまでもなんとなく覚えていますが
そもそも高速道路を猛スピードで走る
「ターボばあちゃん」という都市伝説があるようでして
どっちが先でどっちが後なのか知りませんが
とにかく走るばばあというのは
笑いと恐怖が共存する希有なキャラクターでしょう。

「ネクスト・ホラー・プロジェクト」という企画の3作品のうち
2本目にあたるのが『高速ばぁば』です。
「ばばあ」ではなく「ばぁば」とした本当の意図はわかりませんが
「ばぁば」のほうがちょっと可愛らしい印象。うふ。
都市伝説の「ターボばあちゃん」に
山姥なんかもプラスした「高速ばぁば」のビジュアルは、
ニコラス・ローグ『赤い影(1973)』が頭に浮かんだりもします。

いまや本当に、日本全国いたるところ、
えっ? こんなところに? というような場所にでも
ご当地アイドルがいて驚かされますが
本来、人気者のことを「アイドル」と呼んでいたはずで
いまや人気のない人気者(=アイドル)が存在するとは
これぞ不条理!
そのうち、貧乏なセレブとか音痴な歌姫とかが
続々登場することでしょう。
もしも、具のない肉まんが出てきたら
みなさん、どうしますか!(どうもしないか)
歌い踊り、笑顔を振りまく彼女たちは
自身が置かれた寒〜い状況を
ステップアップするための下積みと考えているのか
そもそも、その下積みの先にステップアップするための階段は
存在するのか……これこそホラーではないか!

そんな、目的すらはかりかねるような
人気のない三人組アイドル「ジャージガール」
番組の肝試し企画で廃墟となった老人ホームへ行ったことが
すべての悪夢の発端です。
いかにも仲良しのように振る舞う三人が
じつは牽制し合っていて仲が悪いのが気が利いた設定。
オープニングのロケバスの中で
センターを勤めるアヤネ(未来穂香)のジャージに
ホチキスの針を忍ばせ、
アヤネの顔にケガをさせるナナミ(北山詩織)
最も性悪だと思っていたら、じつは……
というのも見事だと思いました。

素人眼に見ても明らかに超低予算のこの作品のビジュアルには
いたるところでがっかりします。
そんなことは監督やスタッフたちが
一番よくわかっていることでしょうから
しょぼいビジュアルを責める気にはなりませんが
いち観客としては、やっぱり恐怖心を削がれてしまいます。
結構明るいシーンが多かったので
もっと暗くしてもよかったんじゃないか、とも思います。

また、ストーリー展開も
耳から黄色い膿が垂れてきたり、
口から長〜い白髪が出てきてちっちゃいばぁばの顔があったり
して
しばらく立ち直れないような出来事が起こっているのもかかわらず
次に日には、けろっとしてダンスの練習をしていたりするのは
いかがなものか。
腕をケガして完全にイっちゃたようすのマネージャーが
かさぶたを剥がすシーンは生理的な不快感があってよかったのですが
直後にまともになった彼女は
「責任はどうしてくれるんですか!」とディレクターに詰め寄ったかと思えば
またその直後に笑いながら割れたガラスで
自分の腕を痛めつけるというくだりは
最悪の事態に向かって徐々にエスカレートしていく臨場感を阻害し、
混乱してしまいました。

そもそもマネージャーが腕をケガしたのは
アヤネの母親によってドアに腕を挟まれたからであって
それが「高速ばぁば」の呪いとどう繫がっているのか疑問です。
『呪怨』でも論理的な因果関係はありませんでしたが
ちょっとでも関わったら呪われるという法則はあったので
違和感を覚えることはありませんでしたが
そのあたりの作品内でのルールが不明瞭なのは残念です。
かんざしを人形の眼にもどせば呪いが解けるはずだったのに
その後もとくに状況が変わらないのもどうしたことか。

とはいえ、やっぱり「高速ばぁば」は恐ろしい!
本物の(?)おばあちゃんを起用したばぁばが
こっちに向かって走ってくるだけで気味が悪いのです。
襲われるとか呪われるとか、そういうことより
「こっち来んな! こっち来んなって!」という怖さです。
ゴキブリに遭遇したときと近い感覚かも。

シーツを被った幽霊とか、
窓ガラスに血で「たすけて」と書くとか
まじめなのか、ふざけているのかわからないシーンもありましたが
「高速ばぁば」のキャラクターの魅力で押し切り、
老人ホームでの虐待という、ちょっぴり社会問題も盛り込んだ作品でした。

ま、つきあい始めたばかりの彼女を
部屋に呼んで一緒に見るにはちょうどいいんじゃないでしょうかねー(棒)
けっ!





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ