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ザ・コール 緊急通報指令室

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(原題:The Call 2013年/アメリカ 94分)
監督/ブラッド・アンダーソン 原案/リチャード・ドビディオ、ニコール・ドビディオ、ジョン・ボーケンキャンプ 脚本/リチャード・ドビディオ 撮影/トム・ヤツコ 美術/フランコ=ジャコモ・カルボーネ 音楽/ジョン・デブニー
出演/ハル・ベリー、アビゲイル・ブレスリン、モリス・チェスナット、マイケル・エクランド、マイケル・インペリオリ

概要とあらすじ
誘拐された少女からの通報を受けた911緊急通報指令室のオペレーターが、声だけを頼りに少女を救出しようと奮闘する姿を描いたサスペンススリラー。ベテランオペレーターのジョーダンは、ある女性からの不法侵入者の通報が悲劇的な結末に終わり、悲嘆に暮れていた。自分の人生を見直そうと思案していたジョーダンだったが、そんな折、連続殺人鬼に誘拐された少女ケイシーが、車のトランクから命からがら911に電話をかけてくる。ジョーダンは、これまでの経験と知識、自分の能力の限りを尽くし、電話の声だけを頼りに少女の救出にあたる。監督は「セッション9」「マシニスト」のブラッド・アンダーソン。誘拐された少女ケイシーにアビゲイル・ブレスリン。(映画.comより)



トランクに閉じ込められる人、必見!

僕の住むボロマンションは
大きな道路が交わる交差点のすぐ近くにあるので
毎日かかさず、昼夜問わず
『緊急車両、右に曲がります! 緊急車両、右に曲がります!』
という絶叫が何度も聞こえてきて
うるせえなあとうんざりしているのが正直なところ。
とはいえ、救急車で運ばれている人にとってはまさに緊急事態だし、
いつ自分が近隣住民をたたき起こしながら
意識を失った状態で赤信号を右折することになるか知れないので
文句は言えないのですが……

それにしても『ザ・コール 緊急通報指令室』
「911」にかかってくる電話は
「叔父さんが母親に銃を向けてる!」だの
「彼女が窓から飛び降りて自殺した!」だの
凶悪で緊急極まりないものばかり。
もちろん、電話の多くはたわいもないものや
寂しさを紛らわすためのイタ電だったりするんでしょうが
だからこそ、電話の内容の振り幅が半端なく、
さすがはアメーリカなのです。

ジョーダン(ハル・ベリー)はベテランオペレーター。
瞬時に通報者の状況を把握してテキパキと指示を出し、
パトカーや救急車を適確に手配するオープニングで
この仕事が難易度の高いものであることがわかります。
有能オペレーターのジョーダンには
警官のフィリップ(モリス・チェスナット)という
頼れる恋人までいて順風満帆だと思われたのですが
「誰かが家に忍び込んできた!」という少女からの通報に
いつものように冷静に対応していたところ、
少女からの通話が途切れてしまい、
とっさにリダイアルしてしまいます。
一度は帰り掛けた犯人がそのリダイアルの呼び出し音に気づいて引き返し
少女を誘拐。翌日、その少女は遺体で発見されます。

元警官の父親譲りの正義感か、
自分の能力に対する自負からか、とにかく自分のせいで
少女を死なせてしまったことにショックを受けたジョーダンは
現場を退き、教官となるのです。
教官となったジョーダンが研修生たちに
911オペレーターとしての心得を指南していくシーン
時間差で観客にオペレーターの仕事ぶりを説明しつつ、
すでにジョーダンの「ミス」を知っている観客にとっては
ジョーダンの言葉のすべてに自戒の念がこもって聞こえるのも
見事だと思いました。

そこに、ケイシー(アビゲイル・ブレスリン)から
「トランクに閉じ込められてる!」という
「トランクなう」な現在進行形の緊急通報が。
就任して半年しか経っていない新米オペレーターが
オロオロするのを見かねて、急遽ジョーダンが現場復帰。
件の事件以来、精神的に不安定なジョーダンを
有能とはいえあっさり現場復帰させてしまうボスの判断は
(司令室が「蜂の巣」と呼ばれているから「女王蜂」と呼ばれている)
どうなのよ? という疑問はあるものの
ここからがスリリング!
トニー・スコット的な「司令室と現場」に分かれた
手に汗握るサスペンスの始まりなのです。
「司令室と現場」というシチュエーションの面白さって
なんだろうと、浅知恵を巡らせてみれば
司令室という立場が
「そっち行っちゃダメ!」「静かにしないと見つかるぞ!」と
映画を観てヤキモキする観客と同じ立場でありながら
正確な指示を出せることにあるのではないでしょうか。
もちろん、司令室の指示より
現場の判断のほうが正しかったりする場合もあるのですが。

トランクの中のケイシーが
ジョーダンと会話するために使っているのが
GPSで現在地が把握できないプリペイド携帯なのもミソですね。
誰もが携帯電話を持つようになってから
映画の中から「すれ違い」のスリルがなくなってしまったのですが
その隙を突くような設定です。
(もしも『死刑台のエレベーター』に携帯があったら……
 逆に『24』なんかは携帯なくしては成り立たないでしょう?)
実際の事件に基づくイタ電の恐怖を描いた『コンプライアンス 服従の心理』では、
犯人がプリペイド携帯を使っていることが
事件解明を遅らせる要因でもありました。

ジョーダンがケイシーに出す指示は
もしも自分がトランクに閉じ込められたときのために
絶対に覚えておきたいものばかり!

簡単に諦めちゃ〜いけません。
的確に指示を出しながらケイシーから情報を聞き出し、
ときには、パニックになるケイシーを落ち着かせるために
星座や好きな映画の話をするジョーダンの
対処は冷静でありながらも心中穏やかでない表情が
緊迫感を煽るのですが
犯人の車の異変に気づいた通りがかりの男性を死なせてしまったことで
自分を責めるケイシーに対して
「あなたのせいじゃない。自分だけではどうにもならないことがあるの」
とケイシーを諭すジョーダンの言葉は
当然ジョーダン自身にも向けられているのです。
他人にはかけて上げられる言葉でも
なぜ自分に対しては同じことを言ってやれないのか……
という意味で、僕は結構グッときました。

徐々に明らかになる犯人像。
映画館で一回観ただけなので、間違ってたらごめんなちゃいですが
犯人のマイケル(マイケル・インペリオリ)
ガンに冒された娘(?)が抗がん剤の副作用で髪が抜けていくさまを
見たのをきっかけに、金髪に対する執着を抱くようになり
美しい金髪の少女を物色しては誘拐し、
頭皮ごと剥いでいたのです。
まさに『マニアック』
美しい金髪にこだわるマイケルと対決する
ジョーダンに扮するハル・ベリーが
黒髪のアフロというかカーリーヘアである
ことが
キャスティングの一因ではないか、というのは深読みでしょうかね。

じつは、ジョーダンとケイシーの電話でのやり取りの途中から
これは911オペレーターの任務として、度が過ぎているんじゃないかと
思い始めていたのですが
ついにジョーダンは自ら現場へ向かってしまうのです。
録音された会話を何度も聞き返し、
かすかな物音から現場を推理してしまうのは
鑑識の仕事だろ? と思うし、
現場に到着したジョーダンがケイシーのプリペイド携帯を見つけ
ついでに地下室への入口まで見つけてしまうのは
いくらヒロインと言えども、ちょっとやりすぎ。
ていうか、ついさっき駆けつけた警察マヌケすぎ。

この展開によって、ジョーダンは
すっかり911オペレーターではなくなってしまいました。

これは残念です。
あくまでオペレーターとして、
離れたところから指示は出せるけど
実際に手を下せないというジレンマを表現してほしかったところ。
どうせなら、フィリップ警官を現場に向かわせて
自分の指示ひとつで、ひとつ間違えば
ケイシーともども愛する恋人まで失ってしまうかも知れないという
絶体絶命かつ一発勝負のオペレーションを
観たかったなーという思いです。

ラスト、噂のどんでん返しです。
どんでん返しっていうか……なんでしょうね、これ。
スッキリさせたかったのかも知れませんが
前半の鬼気迫る緊迫感を台無しにしてない?





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