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普通の人々

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(原題:Ordinary People 1980年/アメリカ 124分)
監督/ロバート・レッドフォード 脚本/アルヴィン・サージェント 撮影/ジョン・ベイリー 音楽/マービン・ハムリッシュ
出演/メアリー・タイラー・ムーア、ドナルド・サザーランド、ジャド・ハーシュ、ティモシー・ハットン、ダイナ・マノフ、フレデリック・レーン、ベイジル・ホフマン、エリザベス・マクガヴァン

概要とあらすじ
名優ロバート・レッドフォードの監督デビュー作にして、1980年度アカデミー賞4部門(作品・監督・助演男優・脚色賞)に輝いた傑作ヒューマン・ドラマ。ごく普通の中流家庭であるジャレット一家。お互いに尊重し合い、家族4人で幸せな毎日を送っていた彼らに、長男の事故死と次男の自殺未遂という悲劇が降りかかる。そしてこの出来事をきっかけに、信頼しあっていたはずの家族の歯車が少しずつ狂いはじめるのだった……。(映画.comより)



普通がいちばん難しい

なにがきっかけだったか、
まったく思い出せないのですが
とにかく、ふと観てみようと思った『普通の人々』
観終わった今となっては、
これがロバート・レッドフォードの監督デビュー作だとは
信じがたいほどの傑作です。

もしかしたら、ものすごくゆっくりと
薄皮を剥がすように進んでいく物語に
じれて退屈する人がいるかもしれませんが
そこには確実に少しずつ変化する人間模様が
しっかりと描かれているのです。
思えば、僕たち「普通の人々」の日常も
平坦で退屈なようでいて、
じつはじわじわと変化しているものなのでしょう。

カルビン(ドナルド・サザーランド)
ベス(メアリー・タイラー・ムーア)夫婦と
息子のコンラッド(ティモシー・ハットン)の家族の物語は
なにかしら問題を抱えていることはわかるものの
それが一体なんなのか、はっきりとわからないままに
進み始めます。
コンラッドが自殺未遂をして入院経験があること、
コンラッドにはヨットの事故で死んだ兄がいたことが
少しずつ明かされていくのですが
コンラッドが抱える苦悩を軸に物語が展開していくので
あたかも問題はコンラッドの内面に
限定されているように感じます。

ところが、経済的に恵まれた家庭に漂う違和感は
当然、彼ひとりによるものではないのです。
思い起こせば、
カルビンとベスの夫婦が演劇を観に行った冒頭のシーンでは
カルビンはうたたねし、帰りの車中でも
ベスに対して愛想笑いを浮かべるなど
カルビンの八方美人的にうまく取り繕う性格と
ベスの自己中心的な性格がすでに表現されていたのです。

コンラッドは、カウンセリングのために通い始めた
バーガー医師(ジャド・ハーシュ)のもとで
少しずつ自分が心に抱える鬱屈と向き合うようになりますが
コンラッドとバーガー医師とのやりとりが
この物語の謎解きそのものになっています。

コンラッドには、入院中に仲が良かった
カレン(ダイナ・マノフ)という女の子がいました。
ひさしぶりに再会した彼女は
いかにも溌剌としたかわいらしい女の子で
過去のことは振り払って、前向きに生きる喜びを感じさせます。
ところが、それも彼女なりの空元気だったわけで……
他人を理解することの難しさを痛感します。

それにしても、腹が立つのは
コンラッドの母親ベスです。
不慮の事故で死んでしまったコンラッドの兄を
溺愛していたベスは
彼女なりの苦しみを抱えているとはいえ
あまりにも傍若無人で自己中心的。
苦しむコンラッドのことなど完全に邪魔者扱いなのです。
彼女のなかにあるのは、見栄と世間体だけで
夫にも息子に対しても愛情などなく
あるのは自己愛だけです。
ベスが飛行機で寝たふりをしているシーンでは
ババア、今すぐ、死ね! この飛行機、落ちろ!
と、叫んでしまいましたよ。
ま、ちょっと、ベスを悪者にしすぎじゃないかと
感じないわけではありませんでしたが
コンラッドとカルビンが
少しずつ自分に向き合い、問題を乗り越えようとするのに対して
最後までまったく人間的に成長しないベスに
同情の余地はありません。

クソババアのベスが出て行ったあと、
コンラッドとカルビンのふたりは
お互いに自分の心のうちを吐露します。
すっかり落ち着いて、両親よりも大人に見えるコンラッドが
「父さんはスーパーヒーローだ。尊敬してるよ」というと
「尊敬しすぎると、失望するぞ」
と、カルビンは返します。それに対してコンラッドは
「しないさ。愛しているから。」
と応えるのです。
これはシビれますね〜。

「失望する」とは、無意識にでも相手を値踏みしていて
その期待に見合わなかったということではないでしょうか。
「愛しているから」なんて、
こっ恥ずかしくて、白々しくて
そうそう口に出せる言葉じゃありませんが
「愛しているから」という価値観が存在するのも
間違いなく事実なわけで
その、いかにも脆い価値観が
人と人とを支えてるんでしょうかねえ。
そりゃあ、人間関係がめんどくさいはずですわ。





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コメント

愛しているから

はじめまして。

本作品、未見ですがよく聞くタイトルなので読ませていただきました。

>「尊敬しすぎると、失望するぞ」
と、カルビンは返します。それに対してコンラッドは
「しないさ。愛しているから。」

思わず泣きそうになりました。
これが家族なんですね。
逆に、どんなバカ息子でも信じている自分がいるのは、
このセリフと同じ気持ちがあるからなでしょうね。

2013/11/26 (火) 15:45:58 | URL | ぷっちん #Drcz0VvE [ 編集 ]

Re: 愛しているから

>ぷっちんさん
コメントありがとうございます。
こんなふうに愛されてみたいし、こんなふうに愛せる相手がほしいものです。...orz
ぜひ、一度ご覧になってみてください。

2013/11/26 (火) 16:26:09 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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