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ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ ~血まみれの天使~

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(原題:Thriller - en grym film 1973年/スウェーデン 106分)
監督/アレックス・フリードリンスキー 製作/ボー・アルネ・ヴィベニウス 脚本/ボー・アルネ・ヴィベニウス 撮影/アンドリュー・ベリス 音楽/ラルフ・ランドステン
出演/クリスチナ・リンドバーグ、ハインツ・ホッフ、ソルヴェイ・アンデーション



シュワンシュワンシュワンシュワン

『キル・ビル』でダリル・ハンナが演じた
「エル・ドライバー」の元ネタとされている
『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ ~血まみれの天使~』
日本未公開ながら、
目利きのタラが作品に採り入れたと聞けば
一部の偏った映画ファンなら
一応観ておきたくなるというもの。
僕もそんな偏った映画ファンのひとりなのです。

落葉が地面を覆った公園のような場所で
少女フリッガ(クリスチーナ・リンドバーグ)
ひげ面の男がじゃれて遊んでいると
突然、男は口から真っ黒い血をたらしながら
フリッガに襲いかかります。
襲いかかります、とはいうものの
男はなにか発作に見舞われて倒れ込んだだけのようにも見え、
なにがどうしたのかさっぱりわかりません。
フリッガが着ていた黄色いワンピースが地面に落ちていたので、
なにやら性的ないたずらをされたんだということなのですが
すでにこの時点で作品の先行きが不安でいっぱい。
ともかく、この体験のショックから
フリッガは言葉がしゃべれなくなるのです。

それから10数年後、成長したフリッガは
両親の農場を手伝っているものの、いまだに言葉がしゃべれません。
フリッガの回復を願う両親は、
高い治療費を払ってフリッガを病院へ通わせています。
いつものように病院へ向かうためにバス停へ向かったフリッガでしたが
あと少しのところでバスに乗り遅れてしまいます。
そこに車に乗ってタイミング良く登場したのが
トニー(ハインツ・ホッフ)
「断る理由はないよね」なんていわれたフリッガは
トニーの車に乗り込み、街まで送ってもらうことに。

病院には行ったのか行かなかったのか、よくわからないが
トニーはフリッガを連れてレストランへ。
シャンパンを飲み、ワインを飲み、さらにブランデーを飲んだあと
フリッガはトニーの家に行っちゃいます。
なにやってんの、フリッガ!
トニーに一服盛られたフリッガは
寝ているうちにヘロインを注射され、2日間眠り続けます。
この間の時間の経過を日めくりカレンダーで表現するとは
1973年といえども、いくらなんでも安直すぎない?
そこがいいんだっていわれたら、お手上げですが。

トニーと出会ったときのまんまの服装で
2日間眠り続けたフリッガは相当に衰弱してるはずですが
一度は逃亡を試みるもののトニーに捕まり、
ヘロインを注射されたフリッガは
またしても2日間眠り続けるのです。
そして、またしても日めくりカレンダー……

トニーは街で見かけた女の子をナンパしてはヘロイン中毒にし、
クスリが欲しかったら働けと、売春させる悪党だったのです。
かくして売春婦として客を取らされることになったフリッガでしたが
初めての客の顔を猫みたいにキーって爪で引っ掻いてしまい、
激怒したトニーはなぜか医療用メスでフリッガの左目を刺すのです。
この描写はまるで『アンダルシアの犬(1928)』
メスが眼球をプリンと割くようすが克明に映し出されます。
2012年に来日したクリスチーナ・リンドバーグ によれば
「アレックス・フリードリンスキー監督が、
 知り合いのとある病院の先生から自殺した女の人の死体を手に入れて、
 メイクを施し、目をえぐる場面の撮影をしたという話があるの。
 監督はその話を否定しているけども、わたしはたぶん本当だと思う」

とのこと。真偽は定かではありません。

ていうか、トニー。
大事な商品である女の子の顔を傷つけちゃだめでしょ。
そもそも、ヘロイン中毒にされた女の子たちは
クスリの禁断症状に怯えて仕方なくトニーに従っているはずですが
禁断症状に苦しむ描写がまったくないので
女の子たちのジレンマがいまいち伝わりません。
反抗したフリッガをこらしめるなら
クスリをおあずけにして「クスリが欲しいならいうことを聞け」
とするほうが理屈にあっていると思うのですが
ま、とにかくフリッガを片目にするのが演出上の目的なんですな。

やがてフリッガは売春婦としての人気も上がりはじめ
(フリッガの源氏名は「ワン・アイ(片目)」
エロ写真マニアやキモオタ風の男、SMレズ女の
常連客がつくようになります。
客とのセックス描写はエロいというか、ただのポルノ。
結合部分にクローズアップした下品極まりないカットは
当然のごとく画面全体にぼかしがかかっています。
この売春宿の建物がどういう構造になっているのか
さっぱりわかりませんが
外を走るバイクの音をかすかに拾ってしまっているあたりも
トホホなAVのようです。
なぜだか突然、画質が荒れたりするのも謎。

ちょっと心を通わしはじめていた
同僚売春婦サリー(ソルヴェイ・アンデーション)
トニーに殺され、
行方不明になった愛する娘を心配するあまり
両親が自殺してしまったことでフリッガの怒りが爆発。
(というか、トニーが両親に
 愛想が尽きて二度と戻らないという内容の手紙を
 フリッガが書いたように見せかけて送っていたのです。
 ひどい奴だね。
 でも、フリッガの母親はフリッガ宛の手紙をよこしてるんだから
 フリッガの居場所は知っているはず……かあちゃん、探そうよ。)
トニーに復讐するために
カンフー映画さながらの訓練を始めるのです。
それぞれのエキスパートらしき師匠たちの指導の下、
空手に柔道(壁には日の丸が)、射撃に車の運転と
来るべき日に向けて自分を鍛えるフリッガですが
柔道の受け身から始めるあたり、とっても時間かかりそう。

ていうか、フリッガ。
監禁されてるかと思ってたんだけど
結構自由に出歩けるのね……
それなら早いうちに警察に駆け込むとかさ……ま、いいか。

常連客のキモオタを仕留めたフリッガ。
(なんでキモオタの家を知っていたのかは不明)
トニーはフリッガの反逆に気づき、刺客を送りつけるものの
あっさり返り討ちに。
直後に、誰が通報したか知らないが駆けつけた警官ふたりを
鍛え上げた格闘の技術でまたしても返り討ち。
これが超長〜いスローモーション!
この作品、基本的に人が死ぬときはスローモーションなのです。
そしてディレイがかかりまくった効果音!
ライフルの銃弾をつめかえるSEから断末魔まで
なにからなにまでディレイが響き渡り、
ず〜っと、シュワンシュワンシュワンシュワンいうのです。
うるさいっ!! この演出、子供か!

警官を倒したあと、なぜかパトカーに乗り込んだフリッガは
行き先がまったくわからないけれども、とにかく爆走。
出会った他の車を次から次へと破壊して回るのですが
それ、復讐と関係ないじゃん! 通りすがりの他人だよ!

一体、誰にどこから狙われているのかわからないので
フリッガのひとり芝居にしか見えない港町での銃撃戦のあと
ついにトニーと対峙するフリッガ。
手榴弾のようなものと自分の足をひもで繫いだ仕掛けで
トニーを爆破するのかと思いきや
手榴弾のようなものがパンっと火花を散らし、
トニーがびっくりした隙に銃で撃つという、まわりくどい仕掛け。

倒れたトニーの膝に2発打ち込んだフリッガは
地面から首だけ出してトニーを埋めてしまい
どこからともなく連れてきた馬とトニーの首を繫いで……
ま、十分に苦しませて殺そうとしたんでしょうが
馬が走り出してトニーの首がスポーン! で・は・な・く、
馬はじりじり歩き始めるのです。
かといって、首につけられた縄が少しずつ締まっていって
トニーが浮かべる苦悶の表情を捉えることもなく
ついに復讐が遂げられたというスカっと感はまるでありません。

たしかに、クリスチーナ・リンドバーグは
可愛いっちゃ可愛いんですけど、
演技というほどの演技をしているとも思えず
だからこそ喋れない設定なのかとも思いますが
「復讐に燃える片目の美少女」というキャラクターの魅力だけで
押し切ろうとしたけど押し切れなかった、
そんな作品でした。
ま、憎めないんだけどね。





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コメント

ブッコフで一番高く売れたDVDでした

この映画DVDは、私も当然、キルビルブームによって発売されたものを購入したのですが、その内容たるや、お書きになっているように、本当にポンコツでした……バキュ――――ン!シュワンシュワンシュワン……キャアーーーーーー!シュワンシュワンシュワンみたいなギャグなのか、マジメなのか判別不能のアクションシーン、なんだったんでしょうね。

にしても、主演女優さんは、小柄なのかスリムなのか、復讐シーンでさそり(梶芽衣子)みたいな黒い全身を包む服を着ていると、きれいなのですが、まるで少女のように見えて、困惑しましたね。エロくないよ、と……。

あと、ブッコフで大量にDVDをうっぱらった際に、一本だけ飛びぬけて高額で売れていたソフトがあり、驚いてみてみると、このDVDでした。確か3000くらいだったように記憶しています。

2015/07/24 (金) 16:12:38 | URL | 通りすがり #- [ 編集 ]

Re: ブッコフで一番高く売れたDVDでした

> 通りすがりさん
コメントありがとうございます。
バカバカしすぎて、なんだかほほ笑ましいんですけどね。
DVD、レアなんでしょうね。

2015/07/24 (金) 17:47:49 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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