" />

オブリビオン

oblivion.jpg



(原題:Oblivion 2013年/アメリカ 124分)
監督・原作/ジョセフ・コジンスキー 脚本/ジョセフ・コジンスキー、ウィリアム・モナハン、カール・ガイダシェク、マイケル・アーント 撮影/クラウディオ・ミランダ 美術/ダーレン・ギルフォード 衣装/マーリーン・スチュワート 編集/リチャード・フランシス=ブルース 音楽/アンソニー・ゴンザレス、ジョセフ・トラパニーズ
出演/トム・クルーズ、オルガ・キュリレンコ、モーガン・フリーマン、メリッサ・レオ、アンドレア・ライズボロー、ニコライ・コスター=ワルドウ

概要とあらすじ
トム・クルーズ主演、「トロン:レガシー」のジョセフ・コジンスキー監督によるSFアクション。スカヴと呼ばれるエイリアンの攻撃により地球が壊滅し、生き残った人類は遠い惑星へと移住を余儀なくされる。最後まで地球に残り監視任務に就いていたジャック・ハーパーは、ある日、墜落した謎の宇宙船の中で眠っている美女を発見。彼女を保護したジャックだったが、そこへ現れたビーチと名乗る男に捕らわれてしまう。ビーチはジャックに驚くべき真実を告げ、そのことからジャックと地球の運命が大きく動き始める。脚本に「ディパーテッド」のウィリアム・モナハンや、新「スター・ウォーズ」も手がけるマイケル・アーントらが参加。共演にオルガ・キュリレンコ、モーガン・フリーマン。(映画.comより)



SF痴話ゲンカからのメモリー付電動コケシ

なんで『オブリビオン』のDVDを借りようと思ったのか。
劇場公開はスルーしたし、
DVDディスクを手にとって見つめてみても
まったく興味が湧いてこない……わはは!
おそらく、あれやこれやとDVDを物色しているうちに
なんかスカッと気楽に楽しめる作品がみたくなったんでしょうな。
それにしてもワクワクしないにもほどがあるが
期待せずに観た映画に新しい発見があるやもしれぬ。
気軽にスカッとさせてもらおうとばかりに観てみたところ
スカッとするどころか、モヤっとしてしまった……
あまりにもモヤっとしたので、2回観てしまった。
興味ないのに……

トム・クルーズによる
長々としたナレーションではじまるオープニングからして
まるで不動産屋から契約内容を事務的に説明されているような
めんどくさいけど聞いとかなきゃという気分でスタート。

ジャック(トム・クルーズ)
ヴィクトリア(アンドレア・ライズボロー)のふたりは
異星人「スカブ」との戦いによって壊滅した60年後の地球で
ドローンと呼ばれるロボットをメンテナンスする任務を担って
いかにもSFチックな自宅兼基地で暮らしています。

ジャックが「記憶を抹消されて5年」だと親切に教えてくれますが
任務に必要ないという理由で記憶を抹消されたということは、
記憶があると任務に支障を来すということで
ジャックとヴィクトリアが記憶を消されたことを
疑問に思わないのが不思議です。
そのくせ、物語の鍵を握るおぼろげな記憶が蘇ったりするのですから
親分テットの詰めの甘さが際だちます。
テットは、記憶を消すこともできれば
知らないはずのアメフトの試合結果まで
捏造された記憶を自在に植え付けることもできるのですから
記憶を抹消されていること自体を
記憶から抹消してしまえばいいのにね。

根本的なことを先に言っちゃいますが、テットが
なんでわざわざジャックとヴィクトリアのクローンを大量に作って
地球の警備に当てているのかわかりません。
過去の記憶を消されて、真実を知らないのは
ジャックとヴィクトリア(たち)だけで
敵の「スカブ」たちだってそのことを知っているのですから
なんのためにジャックとヴィクトリアを騙しているのか。
いじわるしてんの? ねえ?
全部ドローンみたいなロボットでいいんじゃね?
あ、それじゃトムの出番がなくなるってか。
ドローンのメンテナンスは人間にしかできないのじゃ!
とかいう理由でもあればなんとなく納得できるけどさ。
やっぱり、それにしたって
ドローンを修理なんかしないで
新しいのをじゃんじゃん作りゃいいんじゃね?
とにかくふたりの役回りが人間でなければならない理由が
理解できません。

ジャックは、
オスプレイが進化してトンボになったような飛行艇に乗って
周辺をパトロールするのが日課ですが
自宅兼基地で指令を出すヴィクトリアに
ずっと監視されているジャックはまるで鵜飼いの鵜です。
飲み込んだら、噛まずに吐き出せってやつです。
それでもちょっとやんちゃな鵜のジャックは
プラントが壊滅的に破壊された直後にもかかわらず
秘密の隠れ家へ直行
します。
放射能に汚染され、壊滅的な地球の中で
なぜその場所だけが緑に囲まれ、川の水は飲めるし
魚も泳いでいられるような状態なのかはまったくもって謎。
任務をほったらかしたままのジャックは
田舎暮らしの雰囲気を満喫するためか、
わざわざネルシャツまで羽織って
「ここで暮らしたいな〜」なんて呑気にくつろいでいる
のです。
なにやってんの、ジャック。

そこへ宇宙船が墜落。
慌ててネルシャツを脱いだジャックは現場へ急行し、
60年間カプセルで眠り続けていた
ジュリア(オルガ・キュリレンコ)を助け出します。
ちなみに、ドローンに殺されてしまった他の乗組員の中に
「K・イシオカ」とあったのは、この作品の
アート・ディレクターの名前で、スタッフのお遊びですな。

いわずもがな、ジュリアはジャックの夢に出てきた女性で
ジャックの妻なのです。
ジャックは自宅兼基地にジュリアを連れ帰りますが
いままでいい感じで同棲生活を過ごしていた
ヴィクトリアにとっては面倒でしかないのです。
(もちろんヴィクトリアにもジュリアの記憶はないけど)
ヴィクトリアに「救急用具!」といわれたジャックが
そそくさと救命用具を取りに行って戻ってくる姿が哀れです。

食事のシーンで、ヴィクトリアから
「あなたはすべてを失ったの」といわれたジュリアが
ふんっと鼻で笑うカットが恐ろしい。
(一回目は意味がわからなかったけど)
ジュリアは腹の中で「ジャックが好きなのはあたしなのにね」
と思っているのですから、女は怖いよ!

その後、モーガンじいさんが登場し、
異星人だと思っていたスカブが実は人間だったと判明、
しかもジュリアが自分の妻だとわかったジャックが
ジュリアといっしょに自宅兼基地に帰ると、
ヴィクトリアは家に入れてくれません。
……ここまで約1時間。

なによ! せっかくジャックとうまくいってたのに
いまさら私が本当の妻ですなんてのこのこ出てこないでよ!
ジャックは記憶がなかったかも知れないけど
ジャックの面倒をみたのはあたしよ!
ジャック! あたしのこと、愛してたんじゃないの?
あたしと過ごしたパラダイスのような日々はなんだったの?
そんな女連れてきても、うちの敷居はまたがせないわ!
……ってことでしょ。
そうです、この作品の前半は
ジャックを巡る近未来SF的痴話ゲンカなのです!

ヴィクトリアは、テットのサリー(メリッサ・レオ)から
「チームはうまくいってる?」と毎日聞かれていましたが
「チーム」とは夫婦のことであり、
サリーは口うるさい姑
なのです。
洗練されたSFデザインに囲まれたなかで
実はねちっこい昼ドラが展開されていたのです!!

後半の1時間。
なんでモーガンじいさんが「そこ」にいるんだよとか
キングコングのぬいぐるみが伏線っぽいけど効果薄いなとか
あれやこれやといろいろありますが
詳しいことは他に譲ることにして
問題はラストシーンです。

秘密の隠れ家で暮らすジュリアになんと子供が!
あの、ジュリアが腹を撃たれたあとにヤったのか!
ひどいな、ジャック! すごいな、命中率!
しかし、驚きはそれだけではありません。
ジャックとモーガンじいさんがテットに突入して
(しらっと突入できるところもテットは脇が甘い)
『2001年宇宙の旅』のモノリスとHALが合体したような
知的生命体
もろともテットを爆破してから3年。
ジュリアを捜し続けていたジャック52号が現れます。
(元のジャックは49号)
一瞬戸惑いながら受け入れるジュリア。
ああ、やっとふたりは一緒に暮らせるのね……
って、なるわけねえだろ! 別人じゃん!

当然、このラストは賛否両論で、
タイトルの『Oblivion = 忘却』という意味にからめて
愛情とは記憶によって育まれるもので
同じ記憶を共有する49号と52号は存在として同一なのじゃ、
という超ポジティブ&超良心的な考え方もあるようですが
じゃあ、「ちょっと待った〜! オレもジャックです」って
50号や51号が登場したらどうすんの?
なにしろジャックのクローンは何千人といるんだから。
ジャックは記憶メモリーつきの電動コケシかよ!
記憶だけが大事ならジャックの写真でも眺めてろよ。

ジャッキー・チェンに対抗心を燃やしているという噂のトムが
スタントを使わないのはたいしたもんだし、
CGだらけかと思いきや、ロケの映像もふんだんに使われていて
もろもろのデザインも素晴らしいと思うし、
メイキングなんか観ちゃうと
スタッフたちの情熱や苦労が十分に伝わってくるのですが
こりゃあ、面白いやと言えるような作品ではありませんでした。
とくに後半は設定の辻褄を
いいわけがましく聞かされているようです。

また、人が殺される瞬間の
火花が散って一瞬で消えてしまうという表現
の仕方が
命を安く扱っているように感じて
受け入れられませんでした。

タランティーノのお気に入り、
ゾーイ・ベルを見られたのが唯一の救いでした。







にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ