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アンチヴァイラル

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(原題:Antiviral 2012年/カナダ・アメリカ合作 108分)
監督・脚本/ブランドン・クローネンバーグ 撮影/カリム・ハッセン 美術/アーブ・グレイウォル
出演/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、サラ・ガドン、マルコム・マクダウェル

概要とあらすじ
鬼才デビッド・クローネンバーグの長男、ブランドン・クローネンバーグの長編監督デビュー作で、2012年・第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品されたSFミステリー。青年注射技師シドは、セレブのウイルスをマニアに注射するクリニックに勤務し、希少価値の高いウイルスを闇マーケットに横流しするという違法行為に手を染めていた。そんなある日、究極的な美貌を誇るハンナが原因不明の重病に冒されて死亡。ハンナから採取したウイルスを自らに注射していたシドも幻覚症状に襲われるようになり、やがてウイルスをめぐる巨大な陰謀に巻き込まれていく。(映画.comより)



しっかりしろ、息子!

「あの」デビッド・クローネンバーグの息子、
ブランドン・クローネンバーグが監督した初の長編映画、
『アンチヴァイラル』
一般的には、息子にとっての父親とは
反発したあげくに乗り越えていくような存在だと思うのですが
ブランドンくんにとってのデビッド父さんは
「父ちゃん、マジ、リスペクトっすよ!」という存在だということは
予告編を観ただけで一目瞭然でございました。
僕はそれなりに期待しつつも、映画館での公開期間を逃し、
DVDにてやっとお目にかかれた次第です。

結論から言うと、
最初から最後まで登場人物たちが一体どんな目的に向かっているのか
さっぱりわかりませんでいした。
鑑賞後に「セレブのウイルスをマニアに注射する」という
あらずじを読んで、ああそういうことなのと
なんとなく理解できたものの、
冒頭からセレブの「完璧な美しさ」みたいなことを
繰り返しアピールするので
クリニックに集まる客たちは、セレブのような容姿になりたくて
細胞移植による美容整形を望んでいるのかな?と思っていました。

たしかに、アンジェリーナ・ジョリーに憧れて
美容整形を繰り返した挙げ句に
オバQみたいな唇になってしまった人をネットで見たりしますが
どうやらこの作品では
セレブのファンはセレブと同じ病気に罹りたいと考えている、
というのが前提のようです。
そんなわけ、ないじゃん!

大好きな芸能人の身につけたものが欲しい、
できれば下着が欲しい、もっと可能なら唾液が、
もういっそのこと、おしっこ飲みたい!……
くらいなら理解の範疇ですが
(オレは、どうかしているんだろうか……)
それがさらにエスカレートした挙げ句、
好きなセレブと同じ病気になりたい!って
そこは繫がってないでしょ!
それは飛躍じゃなくて、逸脱だよ。
もちろん、現実を超デフォルメした結果、
そういう設定になったとしても一向に構いませんが
過剰に演出された世界であることを表現せずに
わかりますよね? みたいにいわれても
わかるかっ!

セレブ好きだということがわかりやすく表現されているのは
主人公が住むマンションの管理人のおばちゃんが
壁に貼っている雑誌の切り抜きだけですが
それとて下世話な好奇心の現れに過ぎず
セレブ達がどれほど熱狂的にもてはやされているのか
まったく伝わりません。
セレブに対するファンの熱狂を拡大解釈するにしても
このあたりのリアリティラインを明確に表現しないと
世界観の理解に観客は苦しみます。

セレブに対する一般人の反応というのは
羨望よりも、やっかみやひやかし、
またはのぞき願望を満たすという要素が多いのではないでしょうか。
ブランドン監督はこのへんの大衆の好奇心というものを
簡単に捉えすぎているように思えてなりません。

ウイルスの持ち出しを厳重に監視されている会社のわりには
肉屋でセレブの細胞入りの肉が売られ、
ファンが列をなして買い求めていたり、
凝ったギミックのでっかい細胞培養装置(?)を持ち出せたり
なんだかいろいろと設定がザルで
その装置を使って何をやっているのかも
理解できませんでした。
その装置でウイルスを分析すると
フランシス・ベーコンに触発されたという
歪んだ人の顔がモニターに映し出されるのですが
ウイルスの状態をわざわざ人の顔に置き換えて表現する意図が
これまた、わからない。

主人公シドに扮するケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
まさに爬虫類系で、異常に多いそばかす(シミ?)が
いかにも病的なこの役柄にはピッタリでしたが
なんやかやと自らの身体に注射して
どんどん弱っていく姿には
ついにこうなったかというカタルシスはなく、
そりゃ、ウイルス注射してりゃそうなるよね、
という感想しか浮かびません。

中盤から、セレブのウイルスを巡る攻防へと
物語は展開していくのですが
何度も言うように、セレブのウイルスの有り難みが
まったく理解できないので、緊張感のかけらもありません。

ぶっとんでいる作品は
理解はできなくとも、納得できるなにかがあるからこそ
(理解と納得は違うのです)
観客の賞賛を浴びると思うのですが
この作品は、いくら意匠にこだわっていようとも
納得できるものはありませんでした。

どうでもいいことですが
「かの」『時計じかけのオレンジ』のマルコム・マクダウェル
すっかりおじいさんになっていました。
まったく気がつかなかったけど。
お元気で何より。





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