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パラノーマン ブライス・ホローの謎

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(原題:ParaNorman 2012年/アメリカ 92分)
監督/クリス・バトラー、サム・フェル 脚本/クリス・バトラー 撮影/トリスタン・オリバー 美術/ネルソン・ロウリー 編集/クリストファー・マーリー 音楽/ジョン・ブライオン
声の出演/コディ・スミット=マクフィー、タッカー・アルブリッチ、アナ・ケンドリック、ケイシー・アフレック、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ジョン・グッドマン

概要とあらすじ
「コララインとボタンの魔女」のライカ・エンターテインメントが手がける3Dストップモーションアニメ。300年前に魔女狩りの現場になったと言われている町、ブライズ・ホローに暮らす少年ノーマンは、死んだ人たちと会話することのできる能力をもち、そのせいで周囲から変わり者扱いされていた。そんなある日、ノーマンは疎遠になっていた叔父から、ブライズ・ホローには「魔女の魂」が封印されており、その魂が悪霊を呼び寄せて町を滅ぼそうとしていることを知らされる。死者と話す能力をもった者たちが何代にもわたり町を守ってきたことを知り、叔父からその役割を受け継いだノーマンは、封印された魔女の正体を解き明かし、町を守るために立ち上がる。(映画.comより)



違いを受け入れるということ

ディズニーやピクサー製作の
3DCGアニメが隆盛を極める現在に
なんでまた、よりによってストップモーション・アニメなどという
手間と時間のかかる方法を選ぶのか。
その理由は、効率を度外視してでも
ストップモーション・アニメでしか得られない魅力が
あるからでしょう。
両親が口喧嘩をする間、部屋に戻ったノーマンが
人形を両手に持って会話させる象徴的なシーンのように
誰しも子供の頃に一度はやったことのある原初的な人形遊びの喜びが
ストップモーション・アニメを単に時代遅れの技術だと
退けられない理由ではないでしょうか。

CGのマッピング技術は日々進化していて
様々にリアルな質感を表現できるようになっているものの
人形という物体の持つ質感の説得力はあいかわらず健在で
手に取ることのできる物体を動かすからこそ
アニマ=魂が宿っているように感じるのです。

とはいえ、気が遠くなるような手間暇がかかるのは事実。
製作期間3年のうち、約2年がアニメーションの製作だったそうですが
1秒30コマとして、1秒間に30回動かしては撮影するという作業を
単純に繰り返せばいいわけではなく
アクションによってはコマを落としたほうが
動きにスピード感や迫力が出たりするのですから
(これはCGでも手書きでも同じだけど)
その動きの演出に必要なイメージを共有していることが
必要になってきます。
自主制作のアニメを作ったりしている僕なんぞは
その苦労を考えるだけでも頭がクラクラします。

そのような地味な努力と情熱によってしかなしえない作品なのですが
ただアナクロなだけではなく、もちろんCGも使われています。
また、この作品のキャラクターの顔は
映画史上初めてフルカラーの3Dプリンタを使って作られたそうで
しかも人形の顔の数は31000個以上!
それをつけては外し、また、つけては外してだな……
(文章のふりだしに戻る)

いじめられっこでオタクの主人公がやがてヒーローに、
という作品は多くありますが
この作品で重要なのは
ノーマンが他の人たちからは理解されない
特別な能力を持っている
ことです。
メイキングを観れば明らかなように
ノーマンはこの作品を作ったスタッフたちそのものでしょう。
彼らスタッフたちはみな、オタクゆえに
過去に変人扱いされた経験を持ち、
それでも自分のやりたいことを突き通した人たちなのです。
(オタクなら誰でもなにかを創造できるわけじゃないけどね)
市役所の資料室でノーマンが爆発させる怒りには
真に迫ったものを感じました。

『パラノーマン』というタイトルには
ノーマンという主人公の名前に
パラノーマル=超常的、もしくはパラノイア=偏執病を
かけたものだと思われますが
変人といわれ、他と違うと言うことは
特殊な能力を持っているということなんだといっているようです。
それを魔女狩りをモチーフにして語っているわけですが
冒頭に登場するフランケンシュタインを始め、
魔女裁判によって処刑された女のコは
『キャリー』そのもので
いずれにせよ社会的に認めてもらえない特殊な人物が
扱われています。

そのような変人を攻撃する側の「常識的な」人々も
皮肉たっぷりに描かれています。
キリスト教原理主義者の教師や
旧時代的な父権にこだわる父親はわかりやすい存在ですが
緑色のパックをしたおばちゃんが
ゾンビよりおぞましいのはいわずもがな、
ゾンビ狩りで暴徒と化した群衆の凶暴さが際だちます。
「若者のせいでオゾン層が破壊された」と嘆く女性警官が
その直後に紙コップをポイ捨てするのも同様で
本当に恐ろしいのはゾンビではなく、
常識的に振る舞う人々のほうなのです。
魔女裁判で殺された女の子の亡霊とノーマンが
激しく言い合うシーンのセリフの数々には
グッと来るものがありましたが
「彼らは怖がっているんだ」という言葉が
この作品のテーマを物語っているように思います。

一応、子ども向けに分類されるであろうこの作品ですが
メイキングの「好きなことやってるかい?」という
スタッフの言葉はむしろわれわれ大人に対して
ずしんと響いてくるのではないでしょうか。









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