" />

清作の妻

seisakunotsuma.jpg



(1965年/日本 93分)
監督/増村保造 原作/吉田絃二郎 脚色/新藤兼人 撮影/秋野友宏 美術/下河原友雄 音楽/山内正 編集/中静達治
出演/若尾文子、田村高廣、小沢昭一、紺野ユカ、成田三樹夫、殿山泰司、穂高のり子、星川黎子、早川雄三

概要とあらすじ
吉田絃二郎の同名小説を「鼠小僧次郎吉」の新藤兼人が脚色「兵隊やくざ」の増村保造が監督した女性ドラマ。撮影は「「女の小箱」より 夫が見た」の秋野友宏。お兼は病身の父を抱えた一家の生計を支えるため、六十を越えた老人に囲われた。今その老人も千円の財産をお兼に残すと他界した。そしてお兼の父も時を同じくして死んだ。大金を手にした母お牧は、かつて逃げるようにして離れた村に喜々として帰った。気のすすまぬまま母に従ったお兼は、ものうい放心した日を送っていた。村一番の模範青年清作の除隊は、お祭り騒ぎの内に迎えられたが、村八分同様のお兼らには関知せざることであった……(映画.comより抜粋)



硬直した正義が自由を奪う

早稲田松竹で『刺青』と併映された『清作の妻』。 

実家の貧しい暮らしを助けるため
妾として60オーバーの隠居(殿山泰司)のもとで
不満を抱えながら暮らしていたお兼(若尾文子)は、
隠居の突然死のあと、手切れ金として1,000円を手にし
(明治当時の1,000円は一生食べていけるほどの大金)
母親と共にもとの家があった村に帰ります。
もともと逃げるように村から離れたお兼一家は
村に帰っても村八分で、老人の妾だったお兼は
村人の好奇の目にさらされ、笑いものにされています。
村の排他的な性格がすぐに見て取れますが
お兼の美しさと裕福さが村人の妬みとあいまって
差別に拍車をかけているようです。

そんな村に模範兵として戦地から戻ってきたのが
清作(田村高廣)
頭脳明晰で人望も厚く、リーダーシップも強い清作は
復帰早々、貯めた金で作った鐘を樹にぶらさげてガンガン鳴らし
早朝から村中をたたき起こします。
相当に鬱陶しいのですが
それでも村人たちは清作のおかげで
村が生き返ったと喜んでいるのです。

まったく境遇の違うお兼と清作のふたりは
お兼の母親の死をきっかけに恋に落ち、
非公認ながら夫婦として幸せな生活を始めます。
清作はお兼の美しさとけなげさに、
お兼は唯一の理解者としての清作にメロメロなのです。
また、お兼が引き取って世話をする
「左巻き」の兵助(小沢昭一)の存在が
彼らが社会から疎外されたマイノリティーであることを
際だたせています。

ふたりの幸せな生活もつかのま、
清作が再び徴兵され、戦地に赴きます。
悲しみに暮れるお兼でしたが、その半年後
負傷した清作は一時的に村に帰ってきます。
久しぶりの再開に想いを熱くするふたりでしたが
清作はすぐに戦地へ復帰しなければなりません。
出征だ、帰還だと、なにかにつけ
ドンチャン騒ぎする村人をよそに
絶望感に苛まれるお兼は清作を兵役に復帰させないために
道で拾った釘で清作の眼をつぶすのです。
しかも両目!

逃げたお兼を捕まえた村の男たちが
寄って集ってお兼をいたぶるシーンは壮絶です。

眼をつぶされて盲人となり、
模範兵としての面目もつぶされた清作は
お兼を怨みますが
自分が村人から疎外される存在になってはじめて
お兼の苦悩と孤独の大きさを知るのです。
清作は刑を終えて戻ってきたお兼を受け入れ
ふたたびふたりの生活を始めます。
畑仕事をしなかったお兼が
眼の見えない清作の代わりに畑を耕すラストシーン
これからふたりに待ち受ける未来の
険しい道のりを感じさせます。

虐げられながらも自分が信じる愛に突き進む
お兼に扮する若尾文子は強く美しく、
『マドモアゼル』のジャンヌ・モロ—を思い起こさせましたが
マイノリティーの劣情を通じて浮かび上がるのは
村社会の下世話な好奇心と同調圧力による暴力です。
盲人となって、兵隊としては役立たずとなった清作の家に
村人が投げ込む石やつぶてが
僕の眼にはネット上の罵詈雑言や誹謗中傷に見えました。

僕たちの発想は、自由になったように見えて
ますます硬直しているとしか思えない現状をみると
なんにも変わってないやね。根本的に。

※予告編が見つからなかったのでこちらを。
 大事なクライマックスシーンなのでご注意↓




にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ