" />

刺青

irezumi.jpg



(1966年/日本 86分)
監督/増村保造 原作/谷崎潤一郎 脚色/新藤兼人 撮影/宮川一夫 美術/西岡善信 音楽/鏑木創 録音/大角正夫 照明/中岡源権 編集/菅沼完二
出演/若尾文子、長谷川明男、山本學、佐藤慶、須賀不二男、内田朝雄、藤原礼子

概要とあらすじ
谷崎潤一郎の同名の原作を、「悪党」の新藤兼人が脚色、「清作の妻」の増村保造が監督した文芸もの。撮影は「悪名無敵」の宮川一夫。外に雪が舞うある夜。質屋の娘お艶は、恋しい手代の新助と手と手をとり合って駈け落ちした。この二人を引きとったのは、店に出入りする遊び人の権次夫婦だった。はじめは、優しい言葉で二人を迎え入れた夫婦だったが、権次も所詮は悪党だ。お艶の親元へ現われ何かと小金を巻きあげ、あげくに、お艶を芸者として売りとばし、新助を殺そうとしていたのだ。(映画.comより抜粋)



背中の蜘蛛がそうさせる

友人に勧められたまま、ほったらかしにしていた
増村保造監督の作品をググってみたら
「卍」だの「兵隊やくざ」だの「痴人の愛」だの
観たことのあるハズの作品ばかり。
とはいえ、遠い昔のことだし、いつものように
内容なんてなぁ〜んにも覚えていないので初見も同様。
タイミングのいいことに
早稲田松竹で増村保造特集をやるということで
行って参りました。

オープニングの暗闇の中で、
縛られた若尾文子の着物の
輝くような色彩の鮮やかさに打ちのめされます。
この時点では、なぜ若尾文子が縛られているのかは
まだわかりませんが、
すでに若尾文子の妖艶な美しさが十分に伝わってきます。
この作品に登場するほかの女性たちの着物と比べて
若尾文子が身に纏う着物の色彩の鮮やかは明らかで
やはり意図されたものではないでしょうか。

奔放な質屋の娘・お艶(若尾文子)
気弱な手代の新助(長谷川明男)
身分の違いをものともせず、駆け落ちします。
とはいえ、駆け落ちに積極的なのはお艶のほうで
新助はいまいち煮え切らないようす。
うじうじと悩みながらお艶に従う新助ですが
雪が舞う橋の上で「案外、力があるのね」とお艶がいうセリフが
後の伏線になっています。

頼りにしていた権次(須賀不二男)のもとで身を隠していたふたりは
権次の策略にかかり、
新助は命を狙われ、お艶は女郎として売り飛ばされるのです。
「案外、力がある」新助は刺客を返り討ちにしますが、
お艶は眠らされている間に背中に女郎蜘蛛の刺青を彫られます。
普通なら半狂乱になりそうな状況ですが
お艶はそんな状況を望むところといわんばかりに受け入れ、
むしろ本性をむき出しにして、活き活きとしてきます。
その後、次々と関わる男を破滅させるお艶は
まさにファム・ファタールと表現したいところですが
正確にいうと、ファム・ファタールとは
その女性本人にはまるっきり悪気はないのに
その魅力ゆえに男性が勝手に破滅していくような女性なので
自覚的に男を食い物にして生き延びようとするお艶は
単に悪女といえば十分なような気もします。
ま、ほかにうまい表現が思いつかないだけですけど。

なにかにつけ「背中の蜘蛛がそうさせている」というお艶は
本来なら、勝手に刺青を彫られたことを嘆くはずなのに
自分の思うままに生きていく口実を得たように思います。
また、その刺青を彫った彫り師・清吉(山本學刺)
「女郎蜘蛛」の威力を目の当たりにして憔悴しきっていることから
刺青をめぐるオカルトだと捉えることもできるかも知れません。
お艶と新助、清吉の三人が折り重なって死んでしまうラストは
それぞれの登場人物の見苦しさを集約しているように思いました。

増村保造監督作品の特徴を
包括的に語るようなことは僕には不可能ですが
『刺青』における構図に対するストイックなこだわりは
感じとることができました。
登場人物たちは、必ず右か左のどちらかに偏ってトリミングされ、
その反対のスペースを壁や襖、人の背中などによって遮られています。
かと思えば、横たわった若尾文子のなまめかしい肢体などは
画面いっぱいを使って均整のとれた構図で映し出します。
どれもこれも、シーンを抜き取って
額に入れて飾りたいくらい絵画的なカメラアングルだと思うのですが
開いた障子の隙間や、木立の合間から覗き込むようなショットからは
映画を観るという行為が他人の人生を覗き込むことだと
言っているようです。

なんにしろ、若尾文子の魅力によって
作品の説得力が後押しされているのは事実でしょう。
おっぱいこそ見せないものの、
腰からお尻に到る絶妙に緩んだ曲線は十分に色っぽく
ましてや腰にできるえくぼ(?)は最高なのです。

音楽も美術も照明も素晴らしい作品です。
ぜひ。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ