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ある子供

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(原題:L' Enfant 2005年/ベルギー・フランス合作 95分)
監督・脚本/ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ 撮影/アラン・マルクーン 美術/イゴール・ガブリエル 編集/マリー=エレーヌ・ドゾ
出演/ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、ジェレミー・スガール、ファブリツィオ・ロンジョーネ、オリビエ・グルメ、ステファーヌ・ビソ

概要とあらすじ
子供ができた若いカップルの過ちを描くドラマ。監督・製作・脚本は「息子のまなざし」のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟。撮影のアラン・マルコァン、美術のイゴール・ガブリエル、衣裳のモニク・パレルなど、主要スタッフはダンデンヌ組の常連が結集。出演は「ジェヴォーダンの獣」のジェレミー・レニエ、これがデビューとなるデボラ・フランソワほか。2005年カンヌ国際映画祭パルムドール大賞受賞。(映画.comより)



責任と向き合ったとき、子供は大人になる

兄弟で映画を製作する
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督
社会的弱者が苦しみながら生きる姿をとらえた作品が多いのは
彼らがベルギーの工業地帯であり、労働運動のメッカでもあった
リエージュ出身であることが影響しているのでしょうか。
また、ドキュメンタリー映画から出発した経歴が
フィクションにも反映されているように思えます。

『ある子供』は、
盗みを働きながら、その日一日をしのぐことしか考えていない
若者ブリュノ(ジェレミー・レニエ)
その彼女ソニア(デボラ・フランソワ)のあいだに
子どもが産まれたことによって物語が展開していきますが
貧しい若者(女性)が妊娠・出産によって
人生の決断を迫られるというテーマは
過去作の『ロルナの祈り』『4ヶ月、3週と2日』などと
共通しています。

全体を通して、車が激しく行き交う車道を横断するシーンが多用され
単純に危なっかしくて冷や冷やしますが
社会の流れに乗れない登場人物たちの
険しい行く末を暗示させます。

金目のものを盗んでは転売して生活している20歳のブリュノは
本当にどうしようもなく幼稚な子供です。
ソニアが生まれたばかりの赤ちゃんを見せても
これといって興味を示しません。
そんなブリュノに惹かれるソニアもやっぱり子供。
ふたりがじゃれあうシーンは
恋人同士のそれよりも、小学生が戯れているようにしか
見えません。

赤ちゃんを乳母車に乗せて歩いていたブリュノは
赤ちゃんを売れば金になることを思いだし、
ソニアに黙ってその日の内に赤ちゃんを売りさばいてしまいます。
手にした大金をソニアに見せて喜び、
「子供はまた作ればいいじゃないか」と平気で言うブリュノは
悪びれる様子もなく、
ことの重大さにまったく気づいていないのです。
その事実を知ったソニアは気を失って病院に運ばれますが
そこでやっとこれはまずいことをしたと気づく始末です。
すぐにソニアが捜索願を出したことによって
ブリュノは警察から取り調べを受けますが
その言い逃れっぷりが見苦しい。
本当にどうしようもないバカガキなのです。

その後、受け取った金を返金して赤ちゃんを取り戻しますが
人身売買の交渉に関わっていた「大人」に締め上げられ
退院したソニアにしつこくすがったりと
何度も言いますが、どうしようもないバカガキぶり全開で
いっさい同情の余地はありません。
「大人」との約束も平気で破り、
川の水面を棒でいじったり、おならで大笑いしてみたり、
もうほんとに、観ているこっちが情けなくなるような
子供っぷりなのです。
なにしろ、ブリュノの仲間は小学生くらいの少年たちです。
彼はそれぐらいの歳の少年を相手に
アニキぶることしかできないのです。

このあたりから、この作品のタイトルに込められた意味が
少しずつ理解できるようになります。
『ある子供』とは、赤ちゃんのことではなく
ブリュノのこと
だと。

「責任」というものに目覚めたように見えるブリュノは
ひったくりの首謀者として自首し、刑務所に入ります。
彼はやっと自分の人生と向き合う覚悟を決めたのです。

心が狭い僕なんぞは
ラストシーンでブリュノに面会に来たソニアを
ほっときゃいいのに! なんて思ってしまいましたが
手を取り合って嗚咽するふたりの姿をみると
ブリュノの幼稚さや不幸な境遇は、
彼個人の問題ではなく社会の構造がもたらした問題で
彼らは脱出不可能な状態であがき苦しみ、
もしくは人生に鈍感になってはぐらかすことでしか
生き延びることができないのだと
語っているように感じました。





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