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うつしみ

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(1999年/日本 110分)
監督・脚本・編集/園子温 撮影/園子温、小坂井徹、杉山正弘、小林康宏、鈴木桂子
出演/鈴木卓爾、澤田由紀子、津田牧子、桜居加奈、幸野賀一、荒木経惟、麿赤児、大駱駝艦の面々

概要とあらすじ
3人の表現者(写真家の荒木経惟、舞踏家の麿赤児、ファンションデザイナーの荒川眞一郎)と、少女と男の純愛ドラマで構成する映像詩。監督・脚本は「性戯の達人 女体壷さぐり」の園子温。撮影を園監督の他、小坂井徹、杉山正弘、小林康宏、鈴木桂子らが担当している。ドラマ部の主演は、「三文役者」の鈴木卓爾。尚、本作は愛知芸術文化センターが企画する、体をテーマにしたアート・フィルムの第8弾作品として製作・公開された。16ミリ。(映画.comより)



突き破ってごらん!

愛知芸術文化センターが年に一回「身体」をテーマにして映像作品を作る
「オリジナル映像作品」という企画の8作目としてつくられた
ちょっと変わり種の園子温作品。
この企画の過去の作品には実験性が強い作品が多いなか、
『うつしみ』はドキュメンタリーとドラマを混在させた
エンターテイメント性も十分に高い作品となっています。

ドラマのホン読みがうまくいかず、沈鬱な空気が漂うなか
助監督が離婚のショックで行方不明に。
なかばやけっぱちで撮影に突入する半(擬似?)ドキュメンタリーから始まり、
ドラマが展開していく間に
写真家の荒木経惟、舞踏家の麿赤児、ファンションデザイナーの荒川眞一郎という
3人をとらえたドキュメンタリーが断続的にインサートされていきます。
ドラマのオーディションというテイで集められた女性たちのヌードを撮る荒木経惟、
大駱駝艦の稽古を通じて身体性そのものを表現する麿赤児、
身体を覆う服を通じて自己を演出・変身させる荒川眞一郎の3人は
それぞれが園子温が考える「身体=うつしみ」を表現しています。

園子温監督本人の言葉によれば、「うつしみ」とは

 現身の世。うつしみの世。
 うつしみとは現身。うつしみとは映身。
 この世の身体。
 裸体。男と女の。
 架空の衣服。
 それとも架空は魂なのか。現身の世。
 人間の肉体の輝き。
 人間の肉体のみすぼらしさ。
 人間の肉体は? クリムトの絵画のように、
 輝き、老衰する。
 この限定された、区切られた時間を生きる肉の衣。架空の衣服。
 架空の肉体。
 身体、架空の肉体。
 現身。
 (上記リンクより)

とのこと。

ドラマ部分では、恋に恋する女子高生(澤田由紀子)
青春をまき散らすかのように走り回ります。
激情に駆られて走り出すのはおおむね童貞と相場は決まっているのですが
この作品で走り出すのは処女なのです。
自分の処女を捨てるためにいつも上機嫌で走り回る彼女は
すぐに『みんな!エスパーだよ!』を思い起こさせ、
また同作と『愛のむきだし』同様に
園子温監督の一貫したパンチラ愛を感じ取れます。

なぜか、さえないおでん屋の男(鈴木卓爾)
処女を捧げる相手に選んだ少女は
単刀直入に「わたしとシテください!」と告白するものの相手にされず。
(ていうか、女子高生が入りびたるおでん屋って。ははは。)
待ち合わせの定番「ハチ公」があれば男がやってくると考えた少女は
ハチ公を引きずって移動するのですが
これは園子温が「東京ガガガ」という集団で実際にやっていた
渋谷に複数のハチ公の張りぼてを置くというパフォーマンスにつながります。

少女から再び「わたしとシテください!」と迫られたおでん屋の男は
ついに少女を受け入れ
(本来、「シテください!」という少女を男が断る理由はないよね。
 断る事情はあっても。本来ね。)
盛り上がったふたりは抱き合いながら店のガラス戸を破って飛び出します。
このあともう一回ガラスをぶちやぶりますが、この描写は最高です。

自分から「わたしとシテください!」と言ったわりには
いざという瞬間になると男から走って逃げる少女は
男をじらしているように見えるものの
これからセックスをすると考えると嬉しくて走り出してしまうのです。
男のアパートでついに結ばれるふたりのセックスシーンは
非常になまめかしくて、素晴らしい。

少女に対して「おまえのこと好きでもなんでもないんだぞ」と言っていた男が
次第に少女に対する想いを募らせるようになるのも至極当然。
いつでも走り回っている少女のスピードについて行けない男は
ランニングのトレーニングを始め、
やっと少女に追いつくことができるようになりますが
少女はすでにほかの陸上選手に気が移っているのです。
女にフラれた男がいつもそうであるように
おでん屋の男は「もう一回だけでも〜!」と無様にすがると、
少女はそれに応え、台車の上で脚を開くもののパンツを脱ごうとしない。
「パンツは脱がないのか?」と聞く男に対して少女は
「突き破ってごらん」というのです。
か、かっこいいじゃないか!

少女は「わたしとシテください!」といっていた頃とうって変わって
少女から女へと脱皮し、男との立場は完全に逆転しているのです。
むしろ、男が少年へと退行したのかもしれません。

このラストシーンでは、
集音マイクやスタッフが画面に入り込んだり
血だらけになる男を追いかけながら血糊を吹きかけているのがバレバレで
単なるミスなのか作為なのかわかりませんが
そのような雑さや荒削りな疾走感なども含めて
ドラマとドキュメンタリーが渾然一体となっているのです。

一気に撮り切った感のある作品ですが、だからこそ
園子温監督のエネルギーを感じられる作品でした。





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