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ヒミズ

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(2012年/日本 129分)
監督・脚本/園子温
出演/染谷将太、二階堂ふみ、渡辺哲、吹越満、神楽坂恵、でんでん

概要とあらすじ
ギャグ漫画「行け!稲中卓球部」で人気を博した古谷実が、ギャグを封印して若者の心の暗部を浮き彫りにしたコミック「ヒミズ」を、「冷たい熱帯魚」「恋の罪」の鬼才・園子温監督が実写映画化。ごく普通に生きることを願っていた祐一と、愛する人と守り守られ生きていくことを夢見る景子。ともに15歳の2人の日常が、ある事件をきっかけに絶望と狂気に満ちたものへと変わっていく様子を描く。主演は「パンドラの匣」の染谷将太と、「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」の二階堂ふみ。2011年・第64回ベネチア国際映画祭では、染谷と二階堂がそろってマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した。(映画.com)



普通、最高ー!

園子温監督作品で初めての原作ものです。
原作とはもろもろ設定が変わっているようですが
製作準備中に東日本大震災が起きたことで
震災を盛り込むかたちで改めて脚本に手を加えたそうです。

中学生の住田(染谷将太)
もうすっかり人生にしらけているように見えます。
というか、「君たちはそれぞれがひとつだけの花」と
(オ〜ンリイィワ〜ンw)
夢や希望を説く教師に失望し、人生を達観しているかのようです。
それもそのはず、父親は酔っぱらいのクズ、母親は…やっぱクズ。
しかも震災直後という設定なので、
未来に希望を持つなんて無理な話です。

そんな住田にラブラブ光線を送るのが茶沢(二階堂ふみ)
住田がしゃべった言葉を紙に書いて壁に貼り付け、
常にハイテンションな茶沢ですが、
彼女も親の愛情に飢えて孤立していたのです。

この茶沢のハイテンションが物語をぐいぐい引っぱっていきます。
寝ている子どもを無理矢理起こすような明るさで
殴られても突き飛ばされても、うざったいほどに
住田を自分と一緒に「未来」へと連れ出そうとします。
住田を取りまく状況は悲惨ですが、
こんな可愛いコがお前のこと好きになって励ましてくれてんだから
文句言うなと思うのはあくまで冗談です。

実際の被災地で撮影された、渡辺哲が瓦礫の中でたたずむ冒頭シーン
胸に逼るものがありました。
被災地での撮影について、不謹慎だという声も聞かれますが
これだけの大きな出来事が表現者に影響を与えないはずはありません。
表現の自由を言い訳にして、被災者を傷つけても仕方がないなどと
言うつもりは毛頭ありませんが、
それでも表現者は表現を通してしか
この大きな出来事に立ち向かうことができないのです。

確かに、もともとあった企画に急遽震災を絡めたわけで
その点においては批判が出てくるのも当然かも知れません。
しかし、おそらく園監督はその落とし前をつけるためにも
次回作『希望の国』を撮ったのでしょう。

脇を固める、園子音ファミリーとでも言うべき
役者陣が演じるキャラクターも素晴らしいです。
『冷たい熱帯魚』に続く吹越&神楽坂夫婦!でんでん!渡辺哲!
ストリートミュージシャンの西島隆弘、スリの窪塚洋介、
いかにもヤンキーの彼女風の吉高由里子。TVに映る宮台真司。
SM羞恥プレイの最中に宅配ピザを受け取りに玄関まで出てくる女など、
サブキャラクターが活き活きとしていて
物語に彩りを加えています。

賛否両論のラストシーンですが
園監督のインタビュー記事によれば
二種類のラストシーンを撮影してあったそうです。
「がんばれ」を連呼するシーンに対して
「結局最後は「がんばれ」かよ!」という批判もあるようですが
もともと詩人であり、言葉に対してこだわりを持つはずの園監督が
J-POPの自己啓発ソングと同じように「がんばれ」を扱うはずはありません。

「愛」「がんばれ」「大丈夫」などという言葉は
当たり障りがないし、簡単に使うことができるので
その記号だけが氾濫して陳腐になっていきます。
安易に使い回されて手垢だらけになった「輪姦された言葉」
ゼロからもう一度考え直すことで本来の意味を取り戻すのです。

表現が二〜三周したあと、どうしようもない絶望の中で
自分に対して言えることはなにか…
「がんばれ」くらいしかないんじゃないでしょうか。
どんなに苦しくても悲しくても悔しくても
生きていくしかしょうがない。
それが嫌なら自殺するしかありませんが、それは安易で卑怯なことでしょ。
全編を通して、園子温の「詩の絶叫」を聞くような傑作でした。

「すみだ〜、がんばれ〜」





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