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修羅雪姫

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(日本/1973年 97分)
監督/藤田敏八 脚本/長田紀生 原作/小池一夫、上村一夫 撮影/田村正毅 美術/薩谷和夫 音楽/平尾昌晃 編集/井上治
出演/梶芽衣子、赤座美代子、大門正明、内田慎一、西村晃、高木均、岡田英次、中原早苗、仲谷昇、地井武男、黒沢年雄、中田喜子、小松方正

概要とあらすじ
文明開化華やかな明治初期を舞台に、母から託された怨念をはらすために、修羅の道を歩く娘・雪の姿を描く。原作は小池一雄・作、上村一夫・画による同名劇画の映画化。脚本は「反逆の報酬」の長田紀生、監督は「赤い鳥逃げた?」の藤田敏八、撮影は田村正毅がそれぞれ担当。(映画.comより)



因果応報!

言わずと知れたタランティーノ監督『キル・ビル vol.1』
元ネタのひとつになっていることで有名な『修羅雪姫』
Wikipediaによれば、原作者の小池一夫が
「『キル・ビル』の原作は『修羅雪姫』である」として
版権料の支払いを要求したところ、映画会社はこれに応じたそうで
それほどまでに『修羅雪姫』は
『キル・ビル』に大きな影響を与えているのですが
いつでも観られると思っていると、いつまでたっても観ないもの。
恥ずかしながら未見だった僕は
ようやく重い腰を上げて、いざ鑑賞に挑んだのであります。
観終わった今となってみれば、なんでもっと早く観なかったんだ!
と、何の役にもたたない後悔をするほどの大傑作でした。

雪がちらつく冒頭のシーンから
修羅雪姫(=鹿島雪)に扮する梶芽衣子が空中で回転、
一発で敵の手下の腕をつけ根から切り落とす! 過剰な血しぶき!
カ、カッコイイ!! かましてくれます。
修羅雪姫雪が狙う柴山源三(小松方正)がどういう人間なのか
いまいちわからなかったものの、とにかく悪いやつなんでしょうな、
容赦なく修羅雪姫に殺されます。
その後、流れてくるクレジットに
小松方正の名前もしっかりあったのはちょっと笑いました。
いきなり殺されたから、もう出てこないのに!

本編では、回想シーンを交えながら
過去と現在を往復しながら物語が進みますが
そもそも修羅雪姫=鹿島雪が復讐の人生を歩むようになったきっかけは
明治6年、徴兵令が布告され、それに反対する農民たちが一揆を起こし
「白装束は憲兵の証し」だとして憲兵を襲う暴徒と化していたなか、
その混乱に乗じて一儲けしようとする
竹村伴蔵(仲谷昇)、塚本儀四郎(岡田英次)、
正景徳市(地井武男)、北浜おこの(中原早苗)
という四人が
金を出せば徴兵を免れると農民を騙していたのです。
その四人がいる島根県の村を訪れたのが
鹿島剛(大門正明)鹿島小夜(赤座美代子)の夫婦とその息子。

鹿島剛は小学校に赴任してきた教師でしたが
全身白のスーツを着ていたために、憲兵だとあらぬ嫌疑をかけられ
その場で、四人に処刑されます。なんとも理不尽。
憲兵を殺しても四人が儲かるわけではないので
おそらく処刑を見守るその他の農民たちに対して
自分たちの正当性をアピールするためのパフォーマンスだったのでしょう。
幼い息子も殺され、血まみれの剛の死体に抱きつく小夜は
涙を流しながら怨念に満ちた眼を四人に向けるのですが
小夜を見下ろす四人を下から(小夜目線で)捕らえたショットは
『キル・ビル』で、瀕死のユマ・サーマンを見下ろす四人組そのまんま!

殺されはしなかったものの、四人のうち(おこのを除く)三人に
輪姦された小夜は、そのうちの一人正景徳市(地井武男)の愛人となり
セックスの最中に隙を見て徳市を殺します。
『反逆のメロディー』で梶芽衣子と恋仲だった地井武男は
 親子どんぶりということになるなと思ったけれど
 そんなことは、どうでもいいですね。)
徳市殺しで捕まった小夜は、女性刑務所に収監されるものの
怨念の火は消えず、看守だろうが坊主だろうが
男なら誰彼構わず身体を許し、なんとか子どもを授かって
その子どもに自身の怨念を託そうとするのです。
そして、雪の日の獄中で生まれたのが修羅雪姫=鹿島雪なのじゃ!!

要するに、修羅雪姫=鹿島雪の父親は誰かわからないわけで
母親の小夜も雪を出産した直後に死んでしまった以上
修羅雪姫=鹿島雪は、出生以降雪の世話をする
タジレのお菊(根岸明美)から伝え聞いた話をもとに
復讐心を募らせていたことになるので
そんなんで復讐の実感わくかね!? なんていうのは野暮。
とにかく母の復讐を受け継ぐことが修羅雪姫=鹿島雪の生き様なのです。

『キル・ビル』の修業シーンは、香港映画からの引用ですが
この作品にもちゃんと修業シーンがあるのです。
幼い雪を引き取った寺の坊主(西村晃)
仏の心はどこへやら、復讐の血を継ぐ雪を厳しく鍛え上げるのですが
その修業の方法とは、雪を樽の中に入れて坂の上から転がすという、
いったいなにが鍛えられるのかわからない猛修業!

やっぱり達人の考えることは常人には理解できません。
剣の特訓では、幼い雪の着物を斬って真っ裸にします。ははは。

『キル・ビル』では、ユマ・サーマンが
復讐のターゲットの名前をノートに書いて
復讐が達成するごとにペンで消していくという
わかりやすいリベンジ・ムービーになっていますが
この作品がただものではないのは
修羅雪姫=鹿島雪による復讐がいまいちすっきりしないかたちで
達成されていくところではないでしょうか。
最初に復讐の餌食になる竹村伴蔵(仲谷昇)が
不自然なほど血で真っ赤になった海で殺されるのは順当だとしても
伴蔵の娘・小笛(中田喜子←かわいいよ!)の存在が
復讐の正当性に陰を落とすし、
(そしてそれはラストで「因果応報」のループとなる)
VS 北浜おこの(中原早苗)の場合は、
雪が自分の手で復讐する前に首を吊って自殺してしまいます。
(この自殺には塚本儀四郎の魂胆が……)
このやるせなさ! やるせなす!
もっとも、首を吊ってぶらさがっているおこのの身体を
雪は一太刀で真っ二つに斬り裂く
のですが……。
そして、突然の緞帳、ダーン!
鈴木清順的なメタ演出! カックイイ!!

ラスボスの塚本儀四郎(岡田英次)にいたっては
3年前に死んだとされ、墓まであったのですが
実は生きていて、しかも雪とちょっといい感じになる
新聞社を経営するジャーナリスティックな足尾竜嶺(黒沢年雄)の……
という、血縁にまつわるジレンマが用意されています。
いざ、塚本を仕留めに鹿鳴館で行なわれる仮面舞踏会に乗り込む雪が
仕込みの蛇の目傘から刀だけ抜き取り、背中に入れるのは
それで刀を隠したことになるのかい?という疑問はあるものの
その仕草そのものがカックイイのです。

原作マンガをオーバーラップしたりと、グラフィカルな表現も満載で
隅から隅まで、本当に面白い作品なのですが
最大の魅力は、やっぱり梶芽衣子の美しさでしょう。
個人の好みなど超越した美しさ、
そしてブルース・リーとも通ずると思われる、殺気に伴う悲しさです。
黒い瞳が放つ目力は言うに及ばず
口は小さいのにぷっくりした唇が脆さと色気を感じさせます。
いつも仕込み蛇の目傘しか持っていないのに
なぜか複数ある着物の着こなしも素晴らしいのです。
釈由美子主演でリメイクが作られているそうですが……
いやあ、無理でしょう。違うでしょう。観てないけど。

明治という時代の和洋折衷が色濃く反映され、
いろんなものをミックスして表現するには
もってこいの時代設定なんだと思いました。
タラ好きなら、間違いなくオススメです。
(逆輸入だけど。そんなの気にしちゃいけません)





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