" />

エンド・オブ・ウォッチ

endofwatch.jpg



(原題:End of Watch 2012年/アメリカ 109分)
監督・脚本/デビッド・エアー 撮影/ロマン・バシャノフ 美術/デボラ・ハーバード 編集/ドディ・ドーン 音楽/デビッド・サーディ
出演/ジェイク・ギレンホール、マイケル・ペーニャ、アナ・ケンドリック、ナタリー・マルティネス、ハイメ・フィッツシモンズ、フランク・グリロ、デビッド・ハーバー、アメリカ・フェレーラ、モーリス・コンプト、ヤヒラ・“フラキス”・ガルシア、クレ・スローン

概要とあらすじ
ロサンゼルスの重犯罪多発地区を舞台に、パトロール警官たちの死と隣り合わせの日常と熱い友情をリアルに描いたポリスアクション。サウス・セントラル地区を担当する白人巡査テイラーとその相棒であるメキシコ系巡査ザバラ。パトロール中に思いがけずメキシコ麻薬カルテルの秘密に触れてしまった2人は、組織から命を狙われるようになり……。「トレーニング デイ」の脚本を手がけたデビッド・エアーがメガホンをとった。(映画.comより)



こんな職場、ちょっと無理。

『エンド・オブ・ウォッチ』を観た人なら
誰もが必ず思い当たっていいたくなる例えがあって、
実際にそういう表現をそこかしこで見かけるので
そんなありきたりなことは絶対に言うもんかと思うものの
言わなきゃ言わないでなんだか居心地が悪いのが
たまにTVでやる『警察24時』です。(結局言うのかよ)

デビッド・エアー監督自身が18歳で海軍に入隊するまで暮らしていた
ロサンゼルスのサウス・セントラル地区での体験を基に作られた
『エンド・オブ・ウォッチ』は
ドキュメンタリーかと思うようなリアルな臨場感で溢れています。
「まるでYoutubeを見ているみたいにしたかった」と監督が語るように
警官側、パトカーの車載カメラ、ギャング側と
デジタルカメラでの撮影が容易になった現代だからこそ
可能になった演出かもしれません。
モキュメンタリーとも少し違うのぞき感覚と
観客が現場に居合わせているようなゲーム的臨場感は
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが
観客に主観と客観を行ったり来たりさせるのです。

そのようにYoutubeの動画を観ているような
粗雑だけど、またはそれ故に臨場感がある映像のほかに
一般的な映画のように、誰の視点ともいえないカメラで撮られたシーンもあり、
それぞれが違和感を感じることなく交錯します。
臨場感を演出するためのドキュメンタリー的な手法は
間違いなく正解だと思いますが、手法に拘泥することなく
映画的なフィクションの演出にもきちんと配慮されているところが
この作品をただならぬものにしているのではないでしょうか。

ブライアン・テイラー巡査(ジェイク・ギレンホール)
マイク・ザヴァラ巡査(マイケル・ペーニャ)のコンビが
漫画的にキャラクターをデフォルメされていないのもリアルです。
パトカー内での二人の無駄話はアドリブによるものだそうですが
それぞれの人間性が会話の中から少しずつ窺えるのは見事です。

どうでもいいことですが、警察署でミーティングをしたあと
パトロールに出発する二人がパトカーに乗り込むとき、
ブライアン(ジェイク・ギレンホール)がザヴァラ巡査に
「コンブチャ飲むか?」と言っていました。
(たしかコンブチャだったと思うのですが、記憶違いだったらごめんなさい)
こんな危険な街にも日本語が! しかも昆布茶て!
と思ったのですが、こんな記事を見つけました。
これを踏まえたシャレかな? どうでしょう?

ブライアンとザヴァラのコンビは
正義感にかられて行動するヒーローではありませんが
かといって、悪徳警官でもなく
警官という仕事に対しては誇りを持っているようにみえます。
一触即発の戦場のような日々は
僕にはとうてい耐えられそうにありませんが
二人の車中の無駄話や警察署内での悪ふざけは
(あのシェービングクリームのいたずらは一度やってみたい!)
パトロールのストレスを緩和するために必要なものに思えます。
そんな二人は戦士でもサムライでもなく、
愛する家族を持つごく普通の生活を送る人間でもあることが
過剰に情緒的にならずに語られ、さらに深みを増していきます。
二人の間で結ばれた絆は、
単に気が合うもの同士の友情などではなく
お互いが命を預けられる相手であることを認め合ったからこその
家族ぐるみの絆なのではないでしょうか。

余談ですが、ブライアンの彼女ジャネット(アナ・ケンドリック)
ザヴァラの奥さんガビー(ナタリー・マルティネス)
ふたりともいい女ですな〜!
タイプは違えども、僕はどっちでもいいですよ!
どっちも僕を選ぶことはないと思うけど!
そんなの、わかってるけど! そこ、うるさいけど!

原題の『End of Watch(エンド・オブ・ウォッチ)』
勤務時間終了、または殉職を意味していますが
そんなタイトルの意味を知らずとも
ギャングと対峙する緊迫した場面や、むしろ弛緩した日常を描いた場面から
そのうちロクでもないことが起きるだろうという
不穏な空気がずっと漂っています。

やがて、ブライアンとザヴァラのコンビは
街のギャングやチンピラではない、
もっと大きな犯罪組織の片鱗に触れてしまいます。
そこからラストに繫がる悲劇が始まるのですが
僕がかねがね思っていたのは
犯罪組織同様に、警察も国家権力を親分にしたギャングではないのか
ということです。
もちろん、二人はこの街の治安を守るために警官をやっているのですが
FBIが登場したあたりから、この考えが顕著に感じられるようになりました。
この作品のように、何でも暴力で相手を制圧しようとする世界では
正しいとか悪いとかを超えた縄張り争い、覇権争いを
やっているだけのように感じるのです。

麻薬に限らず、武器の取引、人身売買と
あらゆる凶悪な犯罪が登場しますが
演出に導かれた観客の悪い予感は的中し、激しい銃撃戦へ。
なんとも喜べない、意外な結末が待っています。

ちなみに、この作品のテクニカル・アドバイザーであり、
リース署長役のハイメ・フィッツシモンズ
ロス市警でパトロール警官として15年間勤務した経験を持つ本物。
ブライアンとザヴァラのエピソードは
ハイメ・フィッツシモンズの経験に基づくところも多いそうです。

東京に例えると、新宿区より狭い場所で繰り広げられる
日常的な暴力のループは
「あー、こんな怖いところがあるのねー」で終わる話ではなく
人間って、ほんとにどうしようもないバカだな〜と
やるせない気持ちになる作品でした。









にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ