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ペーパーボーイ 真夏の引力

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(原題:The Paperboy 2012年/アメリカ 107分)
監督/リー・ダニエルズ 原作/ピーター・デクスター 脚本/ピーター・デクスター、リー・ダニエルズ 撮影/ロベルト・シェイファー 美術/ダニエル・T・ドランス 衣裳/キャロライン・エスリン=シェイファー 編集/ジョー・クロッツ 音楽/マリオ・グリゴロフ
出演/ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザック、デビッド・オイェロウォ、スコット・グレン、メイシー・グレイ、ネッド・ベラミー、ニーラ・ゴードン

概要とあらすじ
「プレシャス」のリー・ダニエルズ監督が、米作家ピート・デクスターのベストセラー小説を映画化したサスペンス。1969年、フロリダで暮らす青年ジャックは、問題を起こして大学を追われ、父親の会社で新聞配達を手伝うだけの日々を送っていた。ある日、大手新聞社の記者で兄のウォードが、ある殺人事件の死刑囚にかけられた冤罪疑惑を取材するために帰省。ジャックはウォードの調査を手伝い、その過程で出会った死刑囚の婚約者で、謎めいた美貌の持ち主シャーロットに心を奪われる。殺人事件をめぐる複雑な人間関係に巻き込まれたジャックの人生は、大きく変わっていく。ミステリアスな美女にひかれ泥沼にはまっていくジャック役をザック・エフロン、兄ウォードをマシュー・マコノヒー、謎めいた美女シャーロットをニコール・キッドマンが演じる。(映画.comより)



ニコール祭 2013夏。ただいま開催中!

規模もジャンルもそっちのけ、
さまざまな作品に引っ張りだこのニコール・キッドマンですが
凄まじいまでの開き直りっぷり、ここに極まれり!
というのが、この『ペーパーボーイ 真夏の引力』です。
もちろん、ニコールを取り囲む男優たちも
そうそうたる顔ぶれなのですが
ニコール “ビッチ” キッドマンの前では
誰もが霞んでしまいます。

タイトルの『ペーパーボーイ』
新聞配達の少年てな意味でしょうが、
例えば「イエスタデイ・ペーパー(昨日の新聞)」なんてのは
昨日寝た相手はもう相手にしないよ的な意味があって
ペーパー(新聞)を使ったスラングは多くあるのですが
映画を観終わった今考えると、この『ペーパーボーイ』は
あいつは配達してるだけで記事の中身は知らないよ、みたいな
ことでしょうか。完全なる憶測ですが。はは。

大学を中退した元・水泳選手ジャック(ザック・エフロン)
地元で新聞社を経営する父親W.W.(スコット・グレン) の元で
手伝いをしながらモラトリアム中。
そこにマイアミの新聞社で名を挙げつつある
兄のウォード(マシュー・マコノヒー)
パートナーの黒人ヤードリー(デビッド・オイェロウォ) と共に
冤罪疑惑のある死刑囚ヒラリー(ジョン・キューザック)
取材するために帰省してきます。
その獄中のヒラリーと手紙を交わして婚約し、
ヒラリーに関する情報を持っている女がシャーロット(ニコール・キッドマン)
ということで、4人は邂逅することになるのです。
これが物語の基本設定。

どのような過去を持つのか、まったくわからない
シャーロット(ニコール・キッドマン) は
危険な男が好きだからと言う理由で
手当たり次第に死刑囚にラブレターを送っては品定めしていますが
40オーバーのビッチが人生の伴侶を探すのに
なんでわざわざ囚人をターゲットにしているのかは
まったくもって理解不能。
なにはともあれ、年がら年中欲情しているような女で、
その姿はまさに岡本夏生(via 映画秘宝)そのものです。
シーンごとにファッションを変えるシャーロットは
ニコールの60'sファッションショーのようでもあります。

なんといっても出色は、ヒラリーとの初面会シーン。
初めて会ったヒラリーとシャーロットは
「ひと目会ったその日から! 恋の花咲くこともある!」てな具合で
完全なパンチDEデート状態。互いに欲情しまくりです。
シャーロットはヒラリーに言われるがままに
脚を開いてパンストの股間を破り、
さらにはエア尺八〜!! なにやってんだ〜!! だはは!
ヒラリーは手錠をはめられた手でぎこちなくシコったうえで昇天。
呆然とするの童貞ジャックの横で
ウォード兄ちゃんもしっかりエレクトしておりました。

そして、海でジャックがクラゲに刺されたシーンでは
心配して駆け寄るおねーちゃんたちを追い払い、
「おしっこをかけるのはあたしよ!」
ジャックにまたがって聖水を浴びせるシャーロット。
ニコール……君のリミットはどこにあるんだい?
蜂に刺されたらおしっこっていうのはよく聞く話だけど
クラゲにもおしっこが効くのかい?

物語としては、死刑囚ヒラリーは本当に冤罪なのか
いや実はヒラリーがそのまま真犯人ではないのかという
ミステリーが軸にあるわけですが
ミステリーの謎解きは表面上のことで
この作品のテーマは、どんな人間にも
隠された秘密がある
ということでしょう。
そして、秘密があるのはよくないからといって
すべて白日の下に晒したほうがいいとは限らない
ということだと受け取りました。
ヒラリーが住む場所が
やすやすとは近づけない沼地の中にあることも
真実に触れることの危うさを象徴していると思います。

シャーロットの行動原理はあくまで謎ですが
ウォードはとんでもない性癖を隠し持っていたし、
(瀕死の状態で見つかったときの無様さといったら……)
ヤードリーがロンドン出身だというのも嘘でした。
(しかも、ウォードとヤードリーは「お口の恋人」だったのじゃ!)
ヒラリーの事件にまつわる冤罪疑惑も
明かさなくてもいい事実を掘り起こしてしまったことが
全ての災いの元となっています。
そんななかでジャックだけが
世間知らずで女知らずのマザコンで、なーんにもわかっていないのです。
20歳という設定にしては幼すぎるだろと思わなくはないですが
若いころは得てして、正しいんだからいいじゃないか!
大人はこそこそ悪さしてズルイ! と思いがちです。
確かに、正しいことは大事なことですが
人間はそんなに単純じゃないんだよ、ぼうや。

リー・ダニエルズ監督はアフリカ系アメリカ人だからでしょうか
(同性愛者だってことは、別にどうでもいいけど)
『プレシャス』と同様に、
この作品に登場する黒人に対する視線に愛情を感じました。
ソウル・ミュージックの使い方もカッコイイのですが
1969年という時代が、アメリカ合衆国としては
黒人の人権が既に認められていたとはいえ
田舎においてはあいかわらず根強い黒人差別があったことも窺えます。
ヒラリーの担当弁護士が黒人のヤードリーを見たときの
微妙な態度が全てを物語っているように思います。

オープニングから
この物語の全ての顛末を語るストーリーテラーの
家政婦タイリー(ネッド・ベラミー)の存在が
非常に魅力的でしたね。
冒頭の「オナニーしてる最中なんだ〜!がお〜!」という
ジャックとの掛け合いがコミカルで
二人の親近感が伝わってきてほほえましいのですが
差別を受けている自覚を持ちながらも
ジャックを息子のように思っているタイリーは
とてもチャーミングでした。

沼地の空撮などを除いて
ほとんど引きのショットがなく、
「真夏の引力」に引き寄せられるかのように
とにかく被写体に寄りまくるカメラワークが暑苦しくて鬱陶しく
観ているだけで汗ばんでくる、そんな作品でした。





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