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反逆のメロディー

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(1970年/日本 84分)
監督/澤田幸弘 脚本/佐治乾、蘇武道夫 企画/水の江瀧子、佐々木志郎 撮影/山崎善弘 編集/井上治
出演/原田芳雄、佐藤蛾次郎、地井武男、藤竜也、冨士眞奈美、梶芽衣子、須賀不二男

概要とあらすじ
「斬り込み(1970)」でデビューした新人、沢田幸弘の第二作。脚本は「橋のない川 第二部(1970)」、「日本最大の顔役」の佐治乾と蘇武道夫が共同執筆。撮影は「女の警察 国際線待合室」の山崎善弘が担当。淡野組が解散した。その翌日、哲は新興都市K市に現われた。昔、K市は立花組が仕切っていた。哲は立花の腹違いの弟だった。組が解散したのでK市へやって来たのである。組長は刑務所入りしていた。そして矢東会から乗り込んできた武沢、ドス建、宮坂の三人に立花組は押えられていた。哲は偶然に出ったゲバ作とともに、矢東会に挑戦しはじめた。さらに立花組の再建に取り組んだ哲は、若者達を引き連れて暴れ廻った……(映画.comより抜粋)



みんな、若かった…

『反逆のメロディー』
2011年7月19日に、惜しまれつつ亡くなった
原田芳雄の映画初主演作です。

自分が世話になった組への忠義と義侠心の狭間で
揺れ動く主人公を演じる原田芳雄は
ヤクザ映画の定石を踏まえた台本に対して
「このGパン上下のまんまで撮影してくれ」
自分が着ていた服装のまま、主人公を演じたいと
新人らしからぬ発言をしたそうですが
監督はその申し出を受け入れ、それが結果的には
学生闘争に象徴される当時の若者の反抗心や
時代の気分を取り入れることとなり
従来のヤクザ映画とは一線を画す作品になったのでした。

哲(原田芳雄)はたしかにGパン上下。
しかも素肌にジージャン。
長髪でジープを乗りまわしてバーボンをラッパ飲みする姿は
たしかにやくざというより、ヒッピーか仮面ライダーの変身前にも見え
当時、かっこいいとされていたいろんな要素が
入っているような気がします。
ともあれ、この作品の原田芳雄にショックを受けた松田優作が
彼を目標にしていたというのも頷けます。

そうそうたる顔ぶれの俳優陣が出演していますが
みんな若い!(あたりまえだけど)
原田同様、2012年6月29日になくなった地井武男
近年「ちいちい」などと呼ばれ、人の良さそうなイメージでしたが
この作品では、狂犬です。いきいきしています。
その地井武男の愛人役が梶芽衣子
いつもすまして、お高くとまっているのかと思いきや
地井武男を慕う情の厚さも感じられ、
本当に不思議な魅力を持った美女ですねえ。

なんとなく園子温に見える佐藤蛾次郎は元気ハツラツだし、
今ではただのうるさいババアになってしまった冨士眞奈美
しっとり色っぽいじゃあーりませんか。
藤竜也は、セリフが少ない寡黙な役柄で
ルパン三世でいうところの小次郎的な存在ですが
やっぱり、かっこいい。というか、美しい男。うふ。
現在の俳優たちと、単純に比較するのは困難ですが
(なにしろ現実でも虚構でも大人がかっこいい存在ではなくなったから)
この作品に登場する俳優たちが
絵になる役者たちであることは間違いありません。

最初はお互いに対抗心を燃やしていた
哲(原田芳雄)と星野(地井武男)、そして滝川政次(藤竜也)が
意気投合し、バーのカウンターでビールを飲むシーン
ひゅ〜と言いたくなるかっこよさ。
それを横で微笑みながら見つめる亜紀(梶芽衣子)。
これぞ青春でございます。

従来のヤクザ然とした親分たちが
金の匂いをかぎ取って、組を株式会社化していくのに対して
哲をはじめとする若者たちは
ファッションこそ既存のヤクザ像を否定しているように見えて
実はかえって古くさくて要領が悪く、
自分たちが思い描く理想に囚われているようにも思えます。
掲げる理想は美しいが、それを実現するだけの狡猾さはない
というような若者特有の未熟さも見て取れます。
(なんてことをいいながら、
 いくつになっても狡猾さなんて、なかなか身につかないし、
 いくつになっても「ロケンロール!」って言ってていいのは
 内田裕也くらいだけどね。)

ゲバ作(佐藤蛾次郎)が死に、星野も殺されて
堪忍袋の緒が切れた哲と滝川政次は
ふたりの仇をとるために
仁義を無視して金にまみれた元組長を殺すために
建設会社が催すパーティー会場へと突撃します。
何度も元組長を狙っている滝川政次は、
なぜかドスをブンブン振り回すので、
やっぱり元組長を仕留めることができず
わりと、あっさり殺されてしまいます。
ひとり残った哲も傷を負っているものの、元組長を追い詰め、
ついに仕留めるのですが、その殺し方が
いわゆる殺陣の殺し方ではなく、
短刀を元組長の喉に突き刺すのが新鮮でした。

警察の徹底的な憎たらしさが、
当時の体制に対する不信感を表現しているようにも思え、
高度成長期のなりふり構わない乱開発まで背景に盛り込んだ
非常に時代性の強い作品だと感じました。

もし、原田芳雄が
従来のヤクザ通りに角刈りに着流しという格好で
上下シーンズという衣裳を提案していなかったら
まったく違う作品になったでしょう。
原田芳雄の申し出は、単にいきがった新人のわがままではなく
時代の空気を敏感にかぎ取っていたからなのかもしれません。
(Youtubeには『反逆のメロディー』の動画がなかったのでこちらを↓)





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