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アイアン・スカイ

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(原題:IRON SKY 2012年/フィンランド・ドイツ・オーストラリア 93分)
監督/ティモ・ブオレンソラ
出演/ユリア・ディーツェ、クリストファー・カービー、ゲッツ・オットー、ペータ・サージェント、ステファニー・ポール

あらすじ
1945年、連合軍の猛攻撃にさらされ、アドルフ・ヒトラーが率いていた「第三帝国」ナチス・ドイツは完全に敗北。しかし、その一部のエリートたちはひそかに月の裏側へと逃亡を図り、秘密基地を建造していたのだった。第2次世界大戦の終結から70年超にわたって独自の軍事テクノロジーを発展させ続け、虎視眈々と連合軍への復讐の機会をうかがっていた彼らは、2018年、ついに決行のときが到来したと判断。UFOの大編隊を組んで、地球侵略を開始する。(シネマトゥデイより)



突き抜けた虚構は現実となる

月の裏側で生き続けるナチの残党…という
なんとも馬鹿馬鹿しいアイデアはまさに映画ならでは!
資金不足で映画ファンからカンパを募り、集まったのは1億円。
さらに宇宙船のCGを作るスタッフをインターネットで募集するという
まさに今時な方法を駆使して作り上げた作品です。

それにしても、全編がブラックな笑いでいっぱいです。
アメリカ大統領は日本製の眼鏡で話題になったサラ・ペイリンそのままだし、
ホワイトハウスには熊の剥製(保守派の象徴)があるし、
黒人は白人にされるし、ネオナチは何にも考えていないただのゴロツキだし…。
各国が打ち上げて飛んでいる人工衛星はどれも戦闘可能な宇宙船だし、
(フィンランドだけがミサイルを積んでないのも可笑しい)
アメリカの宇宙戦艦の名前は「ジョージ・W・ブッシュ号」だしw
…数え上げればきりがないほど、風刺のトラップが仕込まれています。
(北朝鮮がまったく相手にされていないのが、日本人としては痛快でした)

カンパを募るほどの低予算の作品だから
映像はしょぼいんだろと思うなかれ。
宇宙船や月面ナチの基地のデザインやギミックは素晴らしいです。
お金がなくともパソコンとソフトがあれば、ここまでできてしまうのは
デジタルの恩恵でしょうね。
(当然、優れたアイデアありきの話です)

「ナチスもの」というのはすでにジャンルムービーの一種として
確立されているんでしょうか。
ナチスのジャンルムービーとしての扱いやすさとして
ハーケンクロイツのデザインや手を挙げるポーズ、そしてナチス特有の制服など
ゾンビ映画におけるあの死人メイクのようなわかりやすい記号があると思います。
ましてや世界中で悪者だと認められてもいるわけだし。
さらに制服+拷問とくると、ゾンビにはないエロ要素が加味されます。

それでも、ゾンビとの違いは
ナチスはかつて実在したということです。
いくら時間が経って、ナチスが悪の組織としてキャラクター化されようとも
ユダヤ人虐殺などには触れることができません。
(触れるのがタブーという意味ではありません。
触れるなら、また別のアプローチの作品になります)
こればっかりはいくらブラックコメディーでも
茶化していいことにはならないのです。
この映画でも「悪の組織としてのナチス」というキャラクターだけを活用しています。

そして、馬鹿げた設定の馬鹿げた映画は
徐々に現実へ近づいてきます。
「本当にナチスを笑えますか?」と言われているようです。
第二次世界大戦から70年近く経ったいまでも
地球上から戦争のない日はありません。
我々人間はあいかわらず、それぞれの主張を振りかざし、
いがみ合い、殺し合っています。
こうやって映画にしてみれば、コメディーにしかならないようなことを
現実の世界でやり続けているのです。

一体誰にナチスを笑う資格があるのでしょうか?





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