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ソウル・キッチン

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(原題:Soul Kitchen 2009年/ドイツ・フランス・イタリア合作 99分)
監督/ファティ・アキン 脚本/ファティ・アキン、アダム・ボウスドウコス、撮影/ライナー・クラウスマン 編集/アンドリュー・バード
出演/アダム・ボウスドウコス、モーリッツ・ブライブトロイ、ビロル・ユーネル、アンナ・ベデルケ、フェリーネ・ロッガン、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング、ドルカ・グリルシュ

概要とあらすじ
「愛より強く」「そして、私たちは愛に帰る」で世界的に高く評価された、ドイツのファティ・アキン監督による群像コメディ。ハンブルクで暮らす青年ジノスは、経営するレストランがうまくいかなかったり、愛する恋人が上海に行ってしまったりと、不運続きの日々を過ごしていた。そんなある日、新しく雇ったシェフの料理が評判を呼び、店は大繁盛となる。そこでジノは、店を兄に任せて上海へ向かおうとするが……。2009年ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。(映画.comより)



ホームがないオレはどうすんのさ。

三大映画祭のコンペティション部門のすべてを
最年少で受賞するという華やかな経歴を持つ
ファティ・アキン監督作品。
恥ずかしながら、僕はこの監督のことも作品のことも
まったく知らなかったのですが
映画好きのおばちゃんみたいなおっさんに教えてもらい、
観てみることにしたのです。
(こんなこというと、本人は激怒すると思うけど
 サーバのエラーということにしよう。そうしよう)

オープニングから、
レストランを経営するジノス(アダム・ボウスドウコス)
同級生のノイマン(ヴォータン・ヴィルケ・メーリング)
偶然会うシーンまで、
この作品がどんな映画であるかを小気味よく説明していて
『ソウル・キッチン』の「ソウル」が
「ソウル・ミュージック」であり「ソウル・フード」であることが
わかりやすく伝わってくるのですが、
観客がこの作品の空気になじむ猶予を与えず
若干カット割りが急ぎすぎのようにも感じられました。
このカットのテンポはラストまで続くので
あえて難点を挙げるとすれば、編集の緩急だと思いました。

ファティ・アキン監督の他の作品を観ていないので
作風の比較ができないのが残念ですが
『ソウル・キッチン』は監督がインタビューで語っていたとおり、
非常にオーソドックスな構成で成り立っていて
悪いやつは悪いし、途中で挫折する主人公は
最後にはハッピーエンドでちゃんと報われます。
監督はこの作品のテーマを「ホーム」であると語っていて
ドイツ語ではこのような「郷土映画」をさして
ハイマートフィルムと呼ぶそうです。
「ホーム」とは、単に家庭や家族を指すのではなく
ジノスはギリシャ系であったり、
トルコ系やアラブ系のキャラクターが登場するなど
舞台となっているハンブルグがそうであるように
多民族が共存する社会における
それぞれが「ホーム」と感じられるどこかなのです。

サブキャラクターたちがそれぞれに魅力的なのも
この作品に深みを与えている要因でしょう。
ヤクザもんのイリアス(モーリッツ・ブライブトロイ)
母親には心配かけないように嘘をついていたり、
ユマ・サーマン風クールビューティーのルチア(アンナ・ベデルケ)
酒と音楽が好きで、実は画家を目指していたり、
腕はいいが酒飲みの料理人シェイン(ビロル・ユーネル)
そして、整体師(?)のアンナ(ドルカ・グリルシュ)などなど。
(家賃を払わないじいさんや、子持ちのバンドマンも)
それぞれのキャラクターの視点から見た
別バージョンの作品もできそうなほど、それぞれの人生が
ちょっとしたセリフなどできちんと描かれていました。

整体師のアンナなんて、
それほどクローズアップされた存在ではないのにもかかわらず
最初に登場したときから、脇役にしてはあまりにもチャーミングすぎて
最終的にはジノスとくっつくのは予想できましたが
結果的には素直によかった、よかったと思えるのです。

ラストシーンの、ジノスとアンナが
クリスマスに店を貸しきりにするシーンでは
いつも偉そうにジノスをこきつかっていた
料理人シェインとの厨房でのこれまでのやりとりが
ジノスの料理の腕前を上げさせる訓練になっていた
という結末は見事です。

僕が気になったのは、
ジノスの椎間板ヘルニア(ギックリ腰?)です。
わりと早い段階でジノスは腰を痛めるのですが
ジノスが遭遇する困難は腰痛が原因ではありません。
店が一旦景気が悪くなるのは関係ないし、
ヤクザもんのイリアスに店を預けることになるのも
出張中の恋人に会う目的で上海に行くためだし、
腰が悪くて動けない必然性はないのですが
作品中の長い時間、ジノスは腰を患って難儀しています。
全体的にみれば、この作品はコメディともとれるので
ジノスが腰痛で動けないさまが滑稽だからというのが
理由だと言われれば、そうかもしれませんが
それを笑いとしてひっぱるにしては長すぎるし、
ジノスの動作が制限されてしまう……

となれば、的外れと言われようとも
勝手に推測してみるほかないのですが
腰痛によって、ジノスはアンナと出逢うことになり
施術を受けるときに、あそこがカチンカチンになったりするものの
なにしろ腰痛のために浮気もできない。
つまり、ジノスがアンナと出逢うきっかけと
ついに結ばれるまでの時間稼ぎとして、
腰痛が採用されたのではないか
……と考えてみるのですが
どうだ! そうだろう! 当たりだろう!
ま、重要な事ではないんですけどね。へへへ。

おそらく、表面上は
監督がエンターテイメントに徹したであろうこの作品は
十分に楽しめるし、傑作の部類に入るものでしたが
どうせなら、ちょっとだけ、しんみりするようなシーンがあったら
なおよかったかな、と思いました。





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